韓国紙「中国の輸出規制で韓国物流混乱、犯罪も」「日本の輸出規制には超強硬だったのに…」

韓国で「尿素パニック」が起きている。中国の規制により、それまで尿素の輸入を依存していた韓国では尿素が不足し大混乱の様相だ。尿素の輸入がディーゼル車の多い同国では、尿素を原料にした尿素水が無いと貨物車などを動かない。そのため、尿素水をめぐって詐欺や窃盗などが起き始めた。
 
参考記事:韓国は日本の輸出規制に次ぐ危機? 中国依存の化学物質など輸入減でパニック恐れ
 
JTBCは5日、中古品売買サイトでの尿素水をめぐる詐欺事件が続出していると報じた。「尿素水売る」と勧誘し、代金のみを詐取して音信不通となる事例が30件以上も発生しているという。

JTBCが取り上げた事例をみると、ある運送業者Aさんは、「尿素水を10リットル一缶あたり4万ウォン(約3900円)前後で売ります。たくさん買えばもっと安くします」という勧誘に乗り、Aさんは仲間らとお金を集め200缶分700万ウォンを送金したものの、その後は連絡がつかなくなったという。Aさんは尿素水が無いと貨物車が動かせず仕事にならないことから藁をも掴む思いで手を出したところ被害にあった。AさんはJTBCに対し「切実な人に対してこれは無いのではないか」と吐露した。
 

JTBCの当該報道キャプション
 
尿素泥棒も出現した。JTBCによると今月2日、「ある地域貨物協会では尿素水が盗まれたという情報提供が相次ぎ、会員約4,000人に《尿素水盗難注意報》のメールを送った」という。JTBCは、貨物車のドアを開け、車の中に保管されていた尿素水を丸ごと盗んだ事例が二件生じたと報じた。

中国は尿素の原料となるアンモニアを石炭から抽出しているが、石炭が豪州との貿易紛争などを理由に価格が高騰し、中国国内でも尿素が不足するようになった。そのため先月15日から海外輸出の際には輸出貨物表示(CIQ)の義務化制度を導入し、中国政府の承認なしに輸出ができないという、事実上の輸出規制をとった。

韓国は今年1~9月基準で産業用尿素の約98%を中国からの輸入に依存していたことから、今回のようなパニックに陥った。環境規制によって尿素水が必須となるディーゼル車が韓国には400万台存在し、その約半分がトラックなどの貨物車だ。韓国内では現在、平時に比べ10~20%ほど尿素水の相場が上がっているが、品薄のためそれさえ手に入らず、割増金を払ってでも入手しようとする事例が増えているという。

韓国政府は中国に対し、尿素の輸出規制緩和を働きかけているが、今のところ功を奏していない。尿素が止まると物流が止まり、物流が止まると経済が止まるとの危機感が韓国メディアでは噴出しており、問題を解決できない文在寅政権への批判も出ている。毎日経済新聞は6日、「中国・日本に対する政府の態度はあまりにも差がある」とし、日本の輸出規制には超強硬で対応したにも関わらず、「中国には呼びかけに終始しもどかしい」としつつ、「中国側は韓国側の訴えに対して《輸出制限をしたことがなく、輸出前の検査を義務化しただけ》という立場だから、虚しくなる」と伝えている。

一方で、韓国メディアは、「日本や欧州連合ではパニックになっていない」とし、日欧が独自生産・流通網を持つことを強調している。
 
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