韓国科学技術院、人間の脳を模倣したニューロモピック半導体を開発 「ヤヌス構造で実装可能証明」

  • 2021年8月7日
  • 2022年11月21日
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KAIST(韓国科学技術院)の電気電子工学チェ・ヤンギュ、チェ・ソンユル教授の共同研究チームが、人間の脳を模倣した高集積ニューロモピック半導体を開発したと5日に明らかにした。

ニューロモピック(neuromorphic)ハードウェアとは、人間の脳が非常に複雑な機能を実行すろのに消費するエネルギーが20ワット(W)にしかならないということに着目し、人間の脳を模倣して人工知能機能をハードウェアで実装する方式だ。ニューロモピークハードウェアは、従来のフォンノイマン(von Neumann)方式とは異なる人工知能機能を超低消費電力で行うことができ、多くの注目を集めている。
 
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共同研究チームは、単一のトランジスタを用いて、人間の脳を模倣したニューロンとシナプスで構成されたニューロモピック半導体を実装した。この半導体は、商用化されたシリコン標準工程で製作され、ニューロモピークハードウェアシステムの商用化の可能性を大幅に高めた。
 

(画像:商用化されたCMOSプロセスで製作された単一のトランジスタベースのニューロンとシナプス/KAIST提供)
 
ニューロモピックハードウェアを実装するためには、生物学的脳と同様に、一定の信号が統合されたときのスパイクを発生させるニューロンと二ニューロン間の接続を記憶するシナプスが必要である。しかし、デジタルまたはアナログ回路をベースに構成されたニューロンとシナプスは大きな面積を占めるため、集積度の面で限界がある。人間の脳は約千億個(1011)のニューロンと百兆個(1014)のシナプスで構成されることから、携帯電話やモノのインターネット(IoT)装置に使用されるためには、集積度を向上させる必要がある。

これを改善するために様々な材料や構造ベースのニューロンとシナプスが提案されたが、ほとんど標準的なシリコン微細プロセス技術で製造できないため商用化が難しく、量産適用に問題が多かった。

研究チームは、これら問題を解決するために、すでに広く使われている標準的なシリコン微細プロセス技術で製造することができる単一のトランジスタによって生物学的ニューロンとシナプスの動作を模倣し、これを同一ウェハ(8インチ)上に同時集積してニューロモピック半導体を製作した。

製作されたニューロモピークトランジスタは、現在量産されているメモリとシステム半導体用トランジスタと同じ構造で、トランジスタがメモリ機能と論理演算を実行することはもちろんのこと、新しいニューロモピック動作が可能であることを実験的に示すことができたことに最大の意味がある。既存の量産トランジスタに新しい動作原理を適用し、構造は同じだが機能が全く異なるニューロモピックトランジスタを作製した。ニューロモピークトランジスタは、まるでコインの表と裏が同時にあるように、ニューロンの機能もシナプス機能も実行するヤヌス(Janus)構造で実装可能であることを世界に先駆けて実証した。
 

(画像:開発されたニューロモピック半導体をベースにした顔画像認識/KAIST提供)
 
研究チームの技術は、複雑なデジタルとアナログ回路をベースで構成されたニューロンを単一のトランジスタに置き換え、実装密度を飛躍的に高め、さらに同じ構造のシナプスと集積して工程簡素化によるコスト削減をすることができる新技術である。既存のニューロン回路構成に必要な平面が21,000単位であるのに対し、新たに開発されたニューロモピークトランジスタは6単位以下であるため、集積度が約3,500倍以上高い。

研究チームは、製作されたニューロモピック半導体を基に増幅利得制御、同時実行判断などの脳の機能の一部を模倣し、文字画像と顔画像認識が可能となった。

研究チームが開発したニューロモピーク半導体は集積度の改善とコスト削減等に資することができ、ニューロモピークハードウェアの商用化を早めることができると期待される。

ハン・ジュンギュ研究者(博士課程)は、「相補性金属酸化膜半導体(CMOS)ベースのシングルトランジスタを利用してニューロンとシナプス動作が可能であることを示した」とし「商用化されたCMOSプロセスを用いて神経細胞、シナプスは、付加的な信号処理回路を同一ウェハ上に同時に集積することで、ニューロモピーク半導体の集積度を改善し、これによりニューロモピークハードウェアの商用化を一段階繰り上げることができるだろう」と語った。

KAIST電気電子工学ハン・ジュンギュ研究者が第1著者として、同じ学部のオ・ジョンヨプ研究者が第2著者として参加した今回の研究は、著名国際学術誌「サイエンスアドバンシス(Science Advances)」の8月オンライン版に掲載された。

論文名はCo-integration of single transistor neurons and synapses by nanoscale CMOS fabrication for highly scalable neuromorphic hardwareある。
 
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