韓国経済紙「三菱重工業の債権差し押さえ…韓国企業が《最大の被害者》になる」

徴用工問題で韓国の司法が三菱重工業の債権(約8億5千万ウォン=約8千万円)を差し押さえる決定をしたが、当該債権の債務者である韓国企業が苦しい立場に置かれているようだ。

19日、聯合ニュースなどによると、同国水原地裁安養支局は12日、三菱重工業が韓国企業LSエムトロン式会社について持つ8億5千万ウォン相当の物品代金債権について債権差し押さえと回収命令の決定を下した。
 
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これは2018年10月の韓国最高裁による強制徴用損害賠償確定判決以降も日本企業の損害賠償が行われないため、被害者らが韓国内にある日本企業の資産を追跡して探し出したものだ。強制徴用被害者4人の損害賠償金3億4千万ウォン余りとそれに対する遅延損害金、執行費用などをすべて合わせた金額を当該債権から徴収する意図だ。

LSエムトロン側が「われわれが取引しているのは三菱重工業ではなく100%子会社である三菱重工業エンジンシステム」であると主張。三菱など日本企業との取引関係が長い同社が差し押さえを回避しようとしているとの見方も出ているが、被害者弁護士側は、LSエムトロンが過去に様々な形で三菱重工業と取引してきたとアピールしてきたことを説明しており、主張が食い違っている状況だ。

韓国メディアによると、今後、LSエムトロンの主張が証明されれば、裁判所の決定は取り消される可能性もあると伝えられる。
 

 
LSエムトロンが所属するLSグループは、LGグループから派生したBtoB企業だが、日本との関りが深いことで知られる。電力会社であるLSエレクトリックは韓国電力と共に北海道に28MW級の「千歳柏台太陽光発電所」を2017年に建設しており、20年間の運営・維持まで手掛ける。またLSニッコー・カッパーは、元は日本の製錬企業らと設立した企業であり、LSエムトロンは1980年代から三菱重工業関連会社との技術提携により、国産トラクターなどを開発してきた。

ソウル経済新聞は21日、裁判所がLSエムトロンをターゲットにしたことで、「結局、韓国企業が《最大の被害者》になる可能性がある」との見方が財界から出ているとし、「また、三菱・住友・日産・日立などの強制徴用という暗い歴史から自由になれない日本の主要企業が韓国企業との取引を原点から見直す可能性も排除できない」と指摘した。

加藤勝信官房長官は19日の記者会見で、今回の差し押さえをめぐり、「仮に現金化に至ることになれば日韓関係にとって大変深刻な状況になる。避けなければいけない」と強調している。

ソウル経済新聞は、シン・ガクス前駐日大使は同紙に対し、「もし日本企業の財産の現金化措置や債権回収が行われた場合、日本政府は、何らかの形で報復に出る可能性がある」とし、「韓国と日本が対抗し、状況はさらに歪むかもしれない」と述べたと伝えている。
 
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