韓国の経済紙が日本企業の英語力水準が低いことに注目し、グローバル経済における日本企業の立ち位置に懸念を示している。
参考記事:韓国経済紙「賢明な日本の使い方…日本経済に近づこう」「中国の圧力へのシールドに」
韓国経済新聞は22日、「日本の代表企業の生死も揺らいだ…日本の英語力が危険」という記事を掲載し、冒頭で、2012年にシャープが公示した英文内容の誤りがもとで「会社存続」が危ぶまれた事例を紹介。当時、シャープは決算短信の英語版で、会社が将来も存続するかという点に関し、重大な疑義を「生じさせるかもしれない状況が存在する」とすべきところ、「生じる状況にある」と誤って翻訳した。当時、数千億円規模の赤字が見込まれた同社への不安が海外で高まり、3日後に英語版の修正を余儀なくされた。
韓国経済新聞は、「シャープの英語公示騒動は今も日本人の英語力が日本を代表する企業の存立さえ揺るがせることがある事例として膾炙される」とし、「経営難に苦しんだシャープは、最終的に2016年台湾フォックスコンに売却される。日本を代表する電子メーカーが一段下とみていた海外企業に売られる初の事例であった」と伝えた。
一方で同紙は、最近「日本は30兆ドル(約3300兆円)と推定されるESG投資資金を引き入れるため必死である」とし、「30年目に続く低成長の沼から脱出するには、グローバルESG投資資金を誘致することが不可欠だと見るからである」と指摘。菅首相がデジタル化と脱石炭化を二大政策に掲げ、ESG投資資金を日本に吸い込むことができるルートを積極的に開設していると解説した。
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉であり、気候変動問題や人権問題などを配慮した企業にこそ今後は投資資金も流れると見込まれる。
そのためには、海外投資家などに訴える姿勢と言葉が必要となる。日本でも、上場企業の理事会メンバーの3分の1以上を外国人と女性が含まれた社外取締役に満たさなければならず、主要な公示事項を英語でも提出することが義務付けられる。しかし、「現在、日本企業の英語力では容易ではない要件という評価が支配的だ」と同紙は伝えた。
例として、以前から英語公示の重要性が強調されていたにも関わらず、現在1部上場企業2186社のうち決算報告書を英語でも公示する企業は1214年社にとどまることや、有価証券報告書を英語で提出する上場企業は187社・8.5%に過ぎないと指摘。あるIT上場企業の決算報告書の場合、日本語は9ページなのに英語版は2ページにしか過ぎなかった事例などを挙げた。なかには外資系ファンドの介入を防ぐため英語表示をあえてしていない企業の存在なども紹介している。
韓国経済新聞は、日本の株式市場で外国人投資家が占める割合が60〜70%に達するが、「しかし、日本の現実は、外国人投資家が、英語公示と案内だけ見ていては重要な投資情報を見逃すしかない構造だ」とし、「日本の株式市場がグローバル市場で無視される大きな理由の一つ」であるとの分析を示した。同紙は、2017年の調査で海外投資家の72%が日本企業の英語の情報提供が「不満だ」と答えたとも伝えている。一方で、日本企業らが英語翻訳会社に高い文字単価で翻訳を依頼している現状なども伝えた。
この報道をみた韓国のネットユーザーからは、
「自分たちの心配でもしろよ。揺らぐどころか、崩壊しそうだというのに」
「日本は英語ができないのが問題ではなく電子化できていなのがもっと問題だ…」
「…日本はまだ超え難い国である…特に基礎科学から出てくる部品素材分野は違いが深刻ではないか…」
「日本は多くの部分でガラパゴスかしている…」
「我が国も試験のための英語を多く勉強し、使い機会がなく忘れてしまった人たちが多いはず」
「幽体離脱してるのか。我が国もそうじゃないか」
「日本の内需は世界最高だ。米国がトヨタを叩いても特に営業が無いじゃないか…」
「英語を小中高12年やって、TOEIC私教育まで受けてもまだ英語が話せない国が(他国を)心配してどうする」
などのコメントがネット掲示板に投稿されている。
参考記事:韓国経済紙「三菱重工業の債権差し押さえ…韓国企業が《最大の被害者》になる」