31日、ハンガリーや韓国メディアによると、去る28日(現地時間)、ハンガリー郊外・グェドにあるサムスンSDIの電池製造工場における新しいタンクの試運転の過程で、化学物質である電解液が漏れる事故が発生した。
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電解液とは電池の製造に欠かせないアルカリ性物質であり、空気中に多量に放出されると深刻な中毒を引き起こす可能性がある。
幸いなことに、電解液が漏れた量はわずかだったとされるが、関連担当者の即時対応で事故処理が終わったとのこと。この事に地元メディアなどは、人口密集地域に近いことから近隣住民の健康への懸念を示した。
韓国メディア「公共ニュース」によると、サムスンSDIには、事故隠蔽疑惑の目も向けられている。今回の化学物質漏出が会社側の発表ではなく、バログ・チャバ=グェド市長のSNSを通じて知らされた。サムスンSDI電池製造工場から電解液が漏れているという噂が出たことからチャバ市長がサムスンSDIに問い合わせたところ、同社が誤作動を認めたものと伝えられた。つまり、市長から問い合わせがあるまで、事実を発表していなかったというものだ。
公共ニュースに対しサムスンSDI側は、大きな事故ではなく、住民が不安に感じるレベルのものではないとし、隠蔽の意図もないと否定したという。
バログ市長はSNSで「有害物質を扱う工場が秩序を最もよく維持しなければならないのに、維持していなければ、市民の保護を担うことができない」と強調した。
サムスンSDIは、今年上半期の売上高が前年同期比27.0%、営業利益は171.5%も上昇するなど好調だ。31日には、リコールに喘ぐLG化学に代わり、韓国のバッテリー企業として時価総額1位に浮上した。同社はバッテリー量産の自動化を整え、これから一気に市場攻勢に出るとみられていた。サムスンSDIはハンガリーに欧州最大の角型電池の生産拠点を保有しており、同工場に9000億ウォン(約890億円)を投資するなど、生産能力を引き上げている。第1工場に続き、第2工場の建設も進めている。
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