韓国の経済紙が、外交も半導体産業も国際コミュニケーションが肝要であり、日本の同産業が衰退した理由はそれが無かったからであると指摘している。
毎日経済新聞は1日、イ・ジンウ記者による執筆記事『海外の友人が韓国の力だ』を掲載し、アフガニスタンの現地協力者や家族を無事に救出できたのは、「正確な情勢の把握と夢見ない先制対応だった」と指摘。
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イ記者は国際協力ネットワークの重要性を挙げ、救出劇の背景に、米国はもちろん、英国やカナダ、パキスタン、インド、マレーシア、カンボジア、タイ、ベトナム、フィリピンなどによる様々な協力をあったとし、「貿易依存度が65%で、米・中・露・日の4大強国に囲まれた分断国家・韓国は鋭敏な国際感覚が生命線である」と指摘。
続けて、「国の外の動きにいつも目を覚ましている必要があり、いざとなったら他人より早く動かなければならない」とし、「そのため、普段から外国と通じてなければならない」と強調した。
一方でイ記者は、国際感覚の鋭さは半導体産業においても最重要であると指摘している。最近の半導体産業が米中対立なども絡み、業界再編の様相をみせるなか、メモリ半導体1位のサムスンの座を追うよりに米ウエスタンデジルによる日キオクシアの買収推進報道があるとし、台湾TSMCの微細工程先行や、米インテルによる米グローバルファウンドリ買収推進などに言及した。
イ記者は、「一見すると、半導体市場は食うか食われるか、血滴る戦場だ」としつつ、「しかし、現実には、はるかに複雑である。技術力に劣らず、半導体企業の競争力の分け目は(国際)コミュニケーション能力である」と主張する。
理由として、半導体産業が単純な産業ではなく、国家安全保障と直結していることから、米国など大国の動向をみながら動かなければならず、(GAFAなど)IT大手も顧客でありつつライバルにもなることから、協力関係も練らなければならないいうのがイ記者の説明だ。
その上で、「1980年代の日本の半導体産業は、技術万能主義に陥って没落を迎えた」とし、国際的なコミュニケーションの失敗が敗因として挙げられる」とイ記者は評価する。
続けて、「グローバルトレンドを直接確認し、より多くの友人を作らなければならない。チャンスはいつもそこにあった」と強調している。
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