韓国の労働紙が日本の労働監督制度が韓国のそれより優れているとする記事を掲載している。
韓国の有力労働紙・毎日労働ニュースは2日、ウォン・ヒョウォン客員記者による記事『勤労監督、日本が韓国より先進的な理由』を掲載し、日韓の制度を比較した。
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ウォン記者はまず、韓国の労働監督官(labour inspector)と日本の労働基準監督官(labour standards inspector)の違いを説明。似たような制度にみえるが「役割と機能の本質的に異なる制度である」とし、最も大きな違いとして日本の労働基準監督官は労働基準関係法令、すなわち労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法などに集中するのに対し、韓国の勤労監督官はこれに加え、労働組合の管理や労使関係の介入などにも従事しなければならず、「韓国勤労監督官の足を引っ張っている」と指摘した。
ウォン記者は、「このような事情で韓国の勤労監督制度は何一つまともにできない中途半端な状態にある」とし、「また、その解決策は、誰でも口を開くと勤労監督官を増員しなければならないという官僚主義的処方に帰結される」と批判した。
また日韓の制度の違いとして、韓国の勤労監督官の採用は一般公務員と同じプロセスで行われるが、日本の労働基準監督官は別途の試験や検査の上で、専門性と能力を備えた人材を選抜し、国家公務員の地位を付与することにも言及した。
韓国の勤労監督官は2020年現在で1,896人であるのに対し、日本の労働基準監督官は2019年年現在で3013人であり約1.5倍に留まる。ウォン記者は、労働者数において日本は韓国の2倍超を超えるが、しかし、賃金未払いは韓国が日本の16〜17倍に達するとの研究結果もある。このような統計をもとにウォン記者は、韓国で勤労監督効果が日本に比して劣るのは、「下働きなどの業務に多くのエネルギーと時間を無駄にするからである」とし、「日本の労働基準監督官は《労働基準の確保と向上》、そして《労働者の安全と健康の確保》という本来の任務に忠実である」と説明した。
その上で、問題の解決には、人員の増員ではなく、「既存の法令と制度の合理性と効率性を高め、すでにある人材と資源の効率性と生産性を向上することに焦点を置くべきである」と提起している。
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