ゼネラルモーターズ(GM)が「ボルトEV」のバッテリモジュール交換リコールを進めているなか、またもや火災事故が発生した。ボルトEVのリコールをめぐってはバッテリー供給社である韓国LGの賠償問題となっており、同社の株価は急落している。
米国のIT専門媒体であるマーシャブル(Mashable)によると、先月30日未明(現地時間)、米国カリフォルニア州サクラメントのアパート近くの駐車場に駐車されていたシボレー・ボルトEVで火災が発生した。
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この火災で、当該車両は全焼し、隣に駐車していたマセラティ・ギブリ、シボレー・クルーズ、現代エラントラなどが全焼するなどの被害を受けた。人命被害はなかった。
マーシャブルによると、火災発生当時の車両はプラグを差し込まれていない状態であり、起動はオフになっていた。また、事故車の運転手は、レベル2の充電ポイントプラグから約5日ごとに85%ずつ充電しており、駐車場前に特に異常は発見していないと述べた。
事故車はプレミア(Premier)パッケージが適用された2017年型ボルトEVで累積走行距離3万6マイル(約5万7,936km)である。また、ソフトウェアの更新リコール対象に含まれていたため、ソフトウェアの更新を受けたことが分かった。
GMは昨年11月から車両バッテリーの充電を完全充電容量の90%に制限するソフトウェアを適用するリコールを進めており、4月からはバッテリー充電容量を100%まで上げても、火災発生の可能性が低いソフトウェアを適用するリコールを行った。
ただし、当該事故車は、7月から行われていた電池モジュールの交換リコールは受けなかった。
GMは先月20日(現地時間)2017-2019年式ボルトEVの一部のモデルに限り行っていたバッテリーモジュールの交換リコールについて、ボルトEUVを含むボルトEVの全モデルに拡大すると発表した。
今回のリコールは、車両に供給されたような電池セルに負極タブ欠陥や分離膜の折れ曲がりなど「二つの製造上の欠陥が同時に存在する可能性」の発見により、予防措置として、欠陥のあるシボレー・ボルトEVとボルトEUVのバッテリモジュールを新しい電池モジュールと交換する予定だ。
リコール対象は、先月発表したリコールの対象2017〜2019年型ボルトEV 6万8,667台と、今回のリコールを介して追加された2019年型ボルトEV 9335台(米国6,993台、カナダ1,212台)、2020-2022年型ボルトEVとボルトEUV 6万3,683台(米国52,403台、カナダ9,019台)などである。
ボルトEVのリコール原因の主要因とみられるバッテリーを供給したLG化学(LGエナジーソリューション)は、約2千億円の賠償をGMに支払うとみられている。リコールを受け株価も急落しており、時価総額でサムスンSDIにも抜かれている。
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