LG化学が米穀物メジャーである「アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)」と提携し合弁工場設立に乗り出す。トウモロコシを原料としたバイオプラスチックの商業化のためだ。
LG化学は13日(現地時間)、米国イリノイ州シカゴにあるADM(Archer Daniels Midland)本社でADM CEOのフアン・ルシアーノ(Juan Luciano)会長、LG化学CEOのシン・ハクチョル副会長などが出席したなか、LA(Lactic Acid)」とPLA(Poly Lactic Acid)合弁法人設立のための主要条件合意書(HOA)」を締結したと発表した。
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両社は来年第1四半期(1~3月)の本契約締結を目指し、2025年までに米国現地に年産7万5千トン規模のPLAプラント及びそのためのLA工場を建設する計画だ。韓国企業が原材料から製品まで一貫生産が可能なPLA工場を建設するのはLG化学が初めてだ。
PLAは、トウモロコシから抽出したグルコース(ブドウ糖)を発酵・精製して加工したLAを原料にする代表的な生分解性プラスチックである。100%のバイオ原料として生産され、主に食品包装容器、食器などに使用される。一定の条件下で微生物などによって自然分解されるクリーン素材だ。
市場調査会社によると、世界的に使い捨てへの使用規制が強化されるなか、生分解性プラスチックの需要が急増しており、グローバルバイオプラスチック市場は2021年の12兆ウォン(約1.1兆円)から2026年には34兆ウォン(約3.2兆円)規模へと、年平均23%成長すると予想されている。
ADMは、世界200余カ国で農作物の調達施設を運営するグローバル穀物加工企業であり、バイオケミカル(Biochemical)の分野で最も重要な原料である「グルコース」の生産能力と、これを原料にした発酵技術に強みを持つ。
合弁会社の設立が完了すれば、LG化学は、垂直系列化ベースの様々な高付加価値製品の開発において再生可能バイオ原料を組み合わせすることができようになり、商業規模の高純度乳酸(Lactic Acid)の生産能力を確保してPLAの生産に必要な原料を安定的に確保することになる。
LG化学は、PLAの生産に基づいてバイオプラスチック市場を本格的に攻略する計画だ。特に、サステナビリティ(持続可能)戦略の一環として、気候変動への対応と廃プラスチックなどの環境問題の解決に寄与することができるよう、生分解性樹脂の商業化に拍車をかける方針であると説明した。
今回の協約を通じて両社は、バイオ素材の共同研究開発にも積極的に協力することにした。
LG化学はADMと過去2019年に、エコバイオアクリル酸(Acrylic Acid)量産技術の確保のための共同開発契約(JDA)を締結しており、当時の協力が今回のPLA合弁工場設立のベースとなった。
ADM CEOフアン・ルシアーノ会長は「LG化学との今回の協力は、植物性原料ベースのソリューションにおいて、新たな成長の機会と顧客価値を向上させることができるきっかけを作れるだろう」と述べた。
LG化学CEOシン・ハクチョル副会長は「ADMとの合弁会社設立は、単純な協力を越えて、環境と社会のための持続可能な事業構造への転換をリードする新しい旅のスタートになるだろう」とし、「持続可能な大手企業として、カーボンニュートラルな成長に貢献できる新しい方法を積極的に模索していく」と述べた。
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