「雪香(ソルヒャン)」に続く韓国の国産イチゴ品種が好調のようだ。輸出やロイヤリティ契約で稼ぐ品種もある
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「アルタキング」は、2017年に慶尚北道農業技術院が出願した品種であり、果実が大きくて糖度も高く、果実の着色が50%程度で、収穫しても糖度と品質が高い品種である。金泉(キムチョン)市で70%が生産されている。
「アルタキング」は輸出が急増している。昨年11月から今年5月までに35.5トンを輸出し、前年比統計の18倍増を記録。当初はシンガポール、タイに輸出していたが、現在は、香港、ベトナム、カンボジア、マレーシアなどにも輸出が広がっている。
同じく韓国品種である「サンタ」は、クリスマスに食べると美味しいとのネーミングで漬けられたイチゴであり、糖度が高く、実が硬めでサイズも大きい。
韓国農業人新聞によると、「サンタ」は中国や東南アジア地域で専用実施権を契約しており、中国では2020年までに約400万円のロイヤリティを受け取ったと伝えられた。韓国のイチゴとしては初めて海外ロイヤリティ収入を得た品種が「サンタ」だ。
慶尚北道農業技術院側は、現地市場調査や品評会などを行い、特性を反映した輸出戦略を立てているという。
このほか、「メヒャン」「クムシル」「オーロラ」や「クムホン」「コスル」も期待が高い品種として関心を集める。
かつて、韓国のイチゴは日本種がほとんどだったが、「雪香」の開発もあり、現在は割合が大きく減ったと伝えられる。
「雪香」に関しては、2018年の平昌冬季五輪で女子カーリング日本代表選手が「美味しい」と感想を述べたことから、日本の農水当局者等が日本から流出した品種をもとに韓国で交配されたものであると指摘し、「日本から盗んだもの」という報道もなされた。
これについてカン・ユンチャン農業振興庁園芸チーム長は2019年8月当時、「私たちが輸出するイチゴ《雪香》は、日本で改良された品種を韓国に持ち込み、再び改良された品種で、これは国際条約に基づいて問題がなく、ブドウ《シャインマスカット》も日本が韓国に品種登録しておらず、品種保護を受けることができる権利が消滅した状態だ」と説明している。
韓国農水産食品流通後者によると、韓国のイチゴの対外輸出金額は2020年に5379万ドル(約50億円)を記録した。今年は20%増の6500万ドルが見込まれている。
今年春には、新型コロナウイルスで搭乗客が減った大韓航空が、韓国産イチゴの人気が高い東南アジア向けに「イチゴチャーター便」を飛ばし話題になった。
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