中国の尿素輸出規制で大混乱の韓国 政府が環境破壊の「禁じ手」示唆 副首相「検討対象だ」

中国が尿素の輸出を規制した結果、約98%を中国産尿素に依存していた韓国では混乱が続いている。炭素排出規制のため尿素が必須となるディーゼル車の数が韓国は多く、物流が麻痺する恐れが現実化しようとしているからだ。批判にさらされる韓国政府がこれを打開するために「禁じ手」をとる可能性が浮上した。
 
参考記事:韓国紙「中国の尿素輸出規制で韓国大混乱も、なぜ日本は平気なのか?」「世界最高のアンモニア生産力」
 
ソウル経済新聞は8日、「尿素水の品薄で物流の乱れが現実化し、全産業に影響を与えるという懸念が高まっている」とし、「(韓国)政府は代わりに産業用尿素水を車両用に転換する案を検討している」としつつ、ディーゼル車の排気ガス低減装置(SCR)は、高純度尿素を必要とするため産業用尿素水を使用した場合、欠陥が発生する可能性がある」と伝えた。

韓国では2019年からディーゼル車の排気ガス規制が導入され、SCRの装着が義務化された。同国のディーゼル車の数は約400万台、うち半分が貨物車とされる。車両によっては尿素水を充填しなければエンジンがかからないものもあり、運転手らは死活問題であることから、尿素水の窃盗やネット販売詐欺などが頻発している。韓国で尿素水を生産するロッテ精密化学も、原料である尿素が中国から入らないため、工場稼働を完全に中断した状態であると明らかにされた(8日)ほどだ。

韓国政府は解決に乗り出しているが、頼みの中国が「輸出規制ではない」とし、制限を緩めてくれない状況だ。中国も石炭価格の高騰によって尿素の原料となるアンモニアが不足し余裕がない。政府は代替品としてベトナムや豪州からの輸入に乗り出したが、まとまった数量の確保には至っていない。低付加価値品である尿素の生産を、韓国は採算が合わないという理由で過去に生産を止めたが、これが今になって首を絞めている状況だ。
 

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韓国政府は産業用尿素水の活用以外にも、排気ガスの規制緩和、つまりSCRの使用義務を無くす法案も検討中であると伝えられる。ホン・ナムギ副首相はこの日の国会予算決算特別委員会質疑において、「SCR規制緩和も検討対象」であると述べている。

たしかにSCRの規制を緩和すれば、尿素水そのものが不要、あるいは供給が少なく済むので、「根本的」な解決にはなるだろう。しかし、排出ガスは垂れ流しとなり、地球環境にとっては「禁じ手」であり公害となる。尿素を自国で調達できる日本やEUでは混乱が起きていないことから、韓国だけの規制緩和は印象も悪い。文在寅大統領は今月1日にあったCOP26会議で2030年の温室ガス40%削減(2018年比)を公約したばかりであり、格好も悪い。

ホン・ナムギ副首相は一方で「SCR規制緩和は時間がかかる」と述べている。韓国環境部も、SCR規制緩和をする場合、200万台を超える軽自動車をリコールしなければならないと推定しており、難易度が高い。

しかし韓国内では「なぜ予見できなかったのか」という政府批判が起きており、産業用尿素水の活用も含め、リスクを承知で何らかの措置をとらなければならない状況だ。

 
この報道をみた韓国のネットユーザーからは、
「…仕事が出来ないからといって産業用尿素水を入れ車が故障したら責任は誰がとるのか?」

「いつまで検討してるんだ。早くやらないと時期を逃す…」

「…SCR解除して200万台リコールして電気自動車にしてくれ…」

「SCR解除が現在最も速い解決法だ」

「国がなんてざまだ」

「車両だけが問題ではない。尿素肥料を作れないので農家の人たちも大変だ」

などのコメントがネット掲示板に投稿されている。
 
参考記事:韓国紙「中国の輸出規制で韓国物流混乱、犯罪も」「日本の輸出規制には超強硬だったのに…」

参考記事:韓国紙「古鉄価格暴騰で各国が輸出規制」「日本が戦略物資化すれば韓国産業に広範なダメージ」

参考記事:中国と豪州が争うと韓国が損する⁉ 石炭不足→尿素輸出停止→物流麻痺の危機に