東京エレクトロン(TEL)が韓国内の研究開発(R&D)インフラ増設のために大規模投資を断行すると韓国紙が報じた。金額や約100億円とされる。
参考記事:韓国紙「米政府が先端装備供給反対で…韓国半導体企業が国際競争から脱落危機」「日本の動きも脅威」
ソウル経済新聞は19日、「TELが国内保有中のR&Dインフラを大幅に改善するために1,000億ウォン(約96億円)を投資することに決めた」とし、「今回の投資は、TELが既存国内に確保していた京畿道の東灘(トンタン)・発案(パルアン)研究基地を増築し、装備を開発してテストできるクリーンルーム規模を拡大するために活用される予定だ」と報じた。増設完了時期は2023年と同紙は伝えている。
TELは米アプライドマテリアルズや蘭ASMLなどと並ぶ世界的な半導体装置メーカーである。同紙は「TELは、アップグレードさせたR&Dインフラでサムスン電子とSKハイニックスの次世代メモリー、ファウンドリ(チップ委託生産)ラインに活用できる装備を韓国顧客のニーズに合わせて共同開発する」と述べている。
すでにTEL韓国法人は2006年創立以来1,300億ウォン(約125億円)を投資し、韓国に7か所の拠点を確保しているが、「だが今回の投資は約15年間国内(韓国)にしてきた設備投資金額と相当する金額を一度に注ぐ」とソウル経済新聞は強調し、「既存施設を全く新しい半導体R&D基地に変革し、国内の顧客会社としっかりとした協力関係を固めるという意志であると解釈される」と伝えた。
TELのこのような投資は、韓国の半導体業界に「相当な波及力を及ぼす」との見方を同紙は伝えており、「TELの投資で高級半導体人材の養成、チップ製造企業側面支援などが一層弾力を受ける見通しだ」「多少劣悪だと指摘されている国内半導体素材・部品・装備の生態系が一層アップグレードできる絶好の機会になる」との分析を伝えた。
ウォン・ジェヒョンTELコリア社長は今回の投資について「採用規模も大幅に拡大して優秀人材を積極的に迎え入れる計画」などと明らかにしたと同紙は伝えている。
ソウル経済新聞は、米中覇権闘争が続くなか、日米台などが半導体サプライチェーン網を構築していることに触れ、韓国も「チップス・フォー・コリア」戦略を組む必要があるとの専門家意見を伝えた。
東京エレクトロンの7~9月実績は、売上高4,804億円(前年比36.0%増)、営業利益1,328億円(同80.6%増)と好業績を収めている。
この報道をみた韓国のネットユーザーからは、
「東京エレクトロンは年売上10兆ウォン以上に、営業利益は3兆ウォン台、時価総額は100兆ウォンを超える企業。キーエンスやファナックと並び、日本の世界最高の技術力を象徴する企業である。投資してくれてありがとう」
「韓国では日本企業が投資すると文句を言われ、日本では韓国に投資すると文句を言われるのだろう…」
「素材・部品・装置投資が連鎖効果を生んでいるね」
「TELは良い会社だぞ、半年だけでも働いて見ろ」
「TSMCも来いや」
「サムスンの力だ!」
「国内事業社が最低でも50%以上は共同生産できるようにすべき」
などのコメントがネット掲示板に投稿されている。
参考記事:韓国紙「サムスンが半導体洗浄装置の核心・ポンプ技術を国産化へ」「これまで日本勢が独占」