ソウル近郊の議政府地域にある有名飲食店「おでん食堂」(odengsikdang.com) の商号登録が取り消された。理由は「おでんを使ってない」ことだった。そのため商標を独占できない。
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韓国メディアなどによると、韓国特許裁判所は1日、飲食店運営者であるチョン氏が、プテチゲ専門店として有名な「おでん食堂」を相手に訴えた登録無効訴訟において、原告側の勝訴判決をしたと明らかにした。
「おでん食堂」の商号をめぐる無効訴訟は、2012年8月に「おでん食堂」がその商標を登録したことで始まった。これに対してチョン氏は「おでんそのもの」や「おでんを主要食材にしたプデチゲ」という印象を消費者に与えることから、消費者を混乱させるとし、特許審判院に対し登録無効審判を請求した。
これには経緯がある。件のおでん食堂は1960年から営業を始め人気を博していたが、チョン氏も2012年から「おでん食堂」の看板を掲げプデチゲを出す飲食店を運営した。これに元祖の方の「おでん食堂」が商標登録をして対抗したところ、チョン氏側が無効請求をしたというものだ。
ちなみにプデチゲとは、ハムやソーセージ、ラーメンなどを入れた韓国の鍋料理であり、日本でも知名度は高い。元は朝鮮戦争時に米軍が自賛したソーセージなどを入れて調理したとの説が有力だ。初期には屋台などで「おでん」の名で売られたことから、当時の名への思い入れをこめて「おでん食堂」と名乗っている。(おでん食堂HPによる)
特許審判院は、商標に「おばあさんの顔絵」や「大韓民国で最初のプデチゲ1号店」という文句が入っていることから、総合的に考慮して誤解の可能性がないとし、昨年5月にチョン氏側の敗訴判決をしていた。
しかし、今回の特許裁判所の判断は異なる物だった。おでん食堂で販売するプデチゲは肉やハムなどが使われ、おでんが食材として使われていないことから、誤解を与える恐れが大きいと判断した。
韓国の現商標法は、商品が本来有する性質とは異なる性質を含む商標は誤認の可能性があることを認めている。
おでん食堂側は、一般的にプデチゲにはおでんを入れないものと主張したが、裁判所側は、実際におでんが入ったプデチゲ食堂も多数存在するとし、区分されなければならないとの判断を示した。
元祖としては納得し辛い判決かもしれない。
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