世界貿易機関(WTO)が米国の韓国に対する洗濯機セーフガード(緊急輸入制限)紛争で韓国に軍配を上げた。米国がWTOの判断を受け入れれば、4年越しの紛争に終止符が打たれる。
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韓国産業省は8日、WTOが米国の洗濯機セーフガード措置について韓国政府の勝訴を判定したパネル報告書をWTO加盟国に回覧したと明らかにした。
これに先立ち、米国のトランプ政権は、輸入産洗濯機のため深刻な被害を受けているという米国家電メーカーのワールプール社の主張を受け入れ、2018年2月から家庭用洗濯機に対するセーフガードを発動していた。対象を「輸入産」に設定したが、事実上LG電子とサムスン電子を狙った措置だった。
現在、完成品洗濯機に対する年間割当(クォーター)量は120万台だ。120万台以下の物量には14%、120万台を超える物量には30%の関税をそれぞれ課す。部品に対するクォーター量は13万個だ。クォーター内の輸入量には関税を課さず、クォーターを超えると30%の関税を計る。
韓国政府は、米国の洗濯機セーフガードが不合理だと2018年5月WTOに提訴した。以後、WTOにパネルが設置された。昨年2月7日、トランプ前大統領は本来昨年までだったセーフガードの効力を2023年までに2年延長した。
韓国産業部は今回のパネル判定で韓国がセーフガード措置の本質に関連する核心争点の5つ全てで違法判定を得たと伝えた。核心問題は、▲輸入増加と産業被害が予期せぬ展開やWTO義務によるものか▲産業ダメージを誘発しうる急激な輸入増加があったか▲国内産業の範囲が適切に設定されたか▲深刻な被害が適切に立証されたか▲因果関係が適切に立証されたかなどだ。WTOは、米国が韓国に事前協議の機会を十分に提供していないと判断した。
しかし、WTOは洗濯機セーフガード関税が輸入産と国内産の価格差より大きいとしても、その措置を過度に見ることはできないとした。また、米国のセーフガード措置関連通知が合理的な期間内になされたとした。
被訴国である米国が今回のWTOパネル判定結果をそのまま受け入れれば紛争は終了する。一方でLGやサムスンはすでに米国内に洗濯機生産拠点を移しており、輸出改善効果は少ないとの見方も強い。4年という歳月は長すぎたようだ。
ユン・チャンヒョン産業部通商法政策官は「今回のパネル判定をきっかけに米国の洗濯機セーフガード措置が早期に終了するように努力する」とし「今後もWTO加盟国として権利と当業界の利益を保護するためWTO紛争解決手続きを積極的に活用する」とした。
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