これまで高価格路線をとってきた日本のバッテリー素材企業が、韓国のバッテリー企業に安売りをし始めたとの報道が韓国で出ている。
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韓国の経済紙マネートゥデイは21日、『プライドを曲げた日素材、値段を下げてKバッテリー前に列をつくる』というタイトル記事を掲載し、このことを伝えている。
同紙はバッテリー業界への取材をもとに「日本のバッテリー素材業界が販路拡大のために供給価格を下げている」とし、「素材技術の格差が狭まる状況であり、日本のバッテリー素材企業の核心顧客会社であるKバッテリーの市場主導権も強化される見通しだ」などと伝えた。
マネートゥデイは日本の分離膜メーカー大手A社が「出荷価格を下げた」とし、「供給価格を下げて安定的な販路確保に乗り出すと解釈される」とした上で、「同様の道を選ぶ日本素材メーカーが増えていると把握される」と述べている。
同紙は、これら日本素材企業が狙う顧客会社が韓国と中国のバッテリー企業であるとし、 バッテリー世界シェアで2位のLGES(LGエナジーソリューション)、サムスンSDI、SKオン(旧SKイノベーション)などKバッテリー3社や、中国のCATL・BYDなどであると伝えた。
マネートゥデイは「日本素材業界の狙いは、高品質の自社素材を安価に供給し、主要バッテリー企業の日本産素材の搭載比率を高めるということだ」とし、「これまで日本素材は、品質は担保できるものの、価格が高いのが問題という評価を受けてきた」と指摘した。
そのため、韓国のバッテリー企業などは、各種素材の開発や国内調達社を進めてきたところ、「(国内)素材メーカーの技術力も高度化し、日本企業との格差も狭まったという評価だ。自然にバッテリー企業も高価な日本素材にこだわる理由も消えた」と説明している。
そのような状況となったことが「日本の素材業界がプライドを曲げ、Kバッテリーの扉を叩かせた原因」であると同紙は指摘すると同時に、日本に比べ韓国と中国のバッテリーメーカーの方が、成長率が高いこともその背景になっていると伝えている。
実際、バッテリー調査企業であるSNEリサーチによると、日本の代表的バッテリーメーカーであるパナソニックの成長率は昨年37.2%だが、韓国のLGESは100.8%、サムスンSDIは57.1%、SKオンは103.7%の成長率を誇った。
同紙は、「日本の素材企業が生存のために積極的な販路拡大に乗り出している」「韓国が収益性向上のため素材自立化を推進すると、これを牽制していた日本が、今は韓国に素材を納品するために自発的に価格を下げる状況で隔世の感」などといった専門家意見を伝えている。
一方で、日本の半導体素材輸出規制(2019年)の記憶から、素材価格が低くなったとはいえ、日本製に依存することを躊躇する企業もあると同紙は伝えた。
この報道をみた韓国のネットユーザーからは、
「日本には脅迫手段が必要な。ずっと同じパターン」
「不買運動を思い出せ。また不意打ちをしてくるぞ」
「依存するとまた規制されるぞ」
「一度はやられても二度はやられない…」
「これは文政権がよくやったと思う」
「日本の素材はシェアが高くなると値段を上げるし、輸出規制の手段にしてくる。言うならばジャパンリスクだ」
「韓国で開発が進むからその意欲を削ごうと値段を下げたんだよ」
などのコメントがネット掲示板に投稿されている。