韓国紙「対露制裁は韓国建設業界に大打撃、88社が1.8兆円規模を受注中」「工事代金もらえない」

ウクライナ危機により韓国の建設業界が大きな打撃を受けるとの見方が出ている。金額にして約1.8兆円規模とされる。最悪の場合、現在進行中の工事代金も受け取れない可能性がある。

韓国の経済紙チョソンビズは23日、『緊張する建設業界、103億ドルロシア工事《非常》』というタイトル記事を掲載し、韓国の建設業界のウクライナとロシアの武力衝突に神経を尖らせていると伝えている。

韓国建設企業によると、韓国企業は現在ロシアで88社が176件のプロジェクトに関わっており、金額にして159億5000万ドル(約1.8兆円)の建設・土木事業を受注している状態だ。そのうち実際に施工が進行中の事業は18件・103億6100万ドル(約1.2兆円)に上る。

対ロ制裁が本格化した場合は中断・撤収の可能性があると、海外建設協会への取材をもとに同紙は伝えている。

現在、韓国企業のロシアの主要建設事業としては、大林(テリム)グループによるモスクワ精油工場現代化事業(約311億円規模)や、現代エンジニアリングによるガス処理施設EPC(設計・調達・施工)プロジェクト(約95億円規模)、サムスンエンジニアリングのバルティックエタンクラッカープロジェクトの設計・調達事業(約1300億円規模/中国CC7と共同)などがある。

チョソンビズは、制裁本格化の場合、韓国企業がすでに施行中の工事代金の受領や、新規工事の受注も難しくなる可能性を指摘した。韓国のSBS放送(24日)もまた「ロシアは昨年、(韓国企業の)受注額が急騰するなど新興市場に浮上している中で、ロシアとウクライナ間の戦争が勃発すれば受注はもちろん工事費受領などに支障をきたす」と伝えている。

チョソンビズは一方で、原油価格の引き上げや石油化学工程を経る建材の価格引き上げ圧力なども韓国の建設業界には痛手になると指摘した。同紙によると「すでに鉄筋とH型鋼、アルフォームなどの資材が昨年だけで45~50%ほど引き上げられたのに続き、レミコンの主材料であるセメント価格も昨年今年に比べて20%以上に上がった」という。

これら影響で建設会社の株価が下落すると、さらに資本調達が難しくなる恐れがあると同紙は指摘した。