韓国紙「露は韓国経済の救援投手だった…日本の輸出規制時も助け」「文政権は制裁表明もわざと基準曖昧に?」

ロシアへの圧力が西側世界で高まるなか、ロシアとの関係が近年良好だった韓国では様々な声が出ている。
 
参考記事:韓国紙「ロシア制裁で韓国造船に打撃…LNG船7隻に43億ドル案件取消へ」「しかし中長期的には利益に」
 
毎日経済新聞は25日『ロシア経済制裁』というタイトル記事のなかで、「ロシアは予期せぬ救援投手だった」とし、昨年末に中国による尿素水輸出規制をした際に韓国は「尿素水パニック」の様相を呈したときにロシアが尿素水の供給提案をしてくれたことを挙げた。

また、 2019年7月に日本が韓国への半導体素材の輸出規制(輸出管理強化)をした際も、ロシアが外交チャンネルを通じてフッ化水素など素材供給を提案してきたことなどを挙げ、「韓国が貿易依存度の高い中国・日本からのサプライチェーン危機を抱えるたびに、意外にもロシアは先に手を差し出した」ことを伝えた。

その上で「文在寅政権は歴代どの政府よりもロシアに対して格別に尽くしてきた」とし、文大統領とプーチン統領が首脳会談を5回も行ったことや、両国外相が年に2回も相互訪問していたことなどを挙げ「日本よりも(関係が)近づいた」ことを伝えた。その結果として、LNG船の受注増やロシア極東の産業団地建設などあったことを指摘した。
 

2018年にロシアを国賓訪問した文在寅大統領がプーチン大統領と会談した様子/青瓦台
 
同紙はまた、韓国政府が少々遅れながらも、米国に呼応して対ロシア経済制裁を宣言したものの、その内容が現時点で明確な基準を伴っていないことを挙げ、「ロシアを考慮してわざと曖昧な話法を選んだのかは不明だ」としつつも、制裁をするからには明確な覚悟や説明が必要になるとの見方を示している。

毎日経済新聞は別の記事『韓国企業《ウクライナよりロシア経済制裁が大きい脅威》』というタイトル記事において、「ロシア経済制裁が実行に移されれば、ロシアと東欧市場を狙って建設された国内(韓国)企業生産基地に打撃があるほかない」との関係者コメントを伝えた。

また現代自動車・起亜、サムスン電子、LG電子、ポスコなど韓国企業40社余りがロシアに進出している(韓国貿易協会しらべ)ことから、「ロシアに対する経済制裁は、サプライチェーンと販売網を同時に麻痺させ、現地生産に直撃弾を飛ばすことになる」とし、2014年のクリミア危機の際に韓国の対ロ輸出額が半減したことなどを伝えている。

ニュースピム紙は25日、前国立外交院長であるキム・ジュンヒョン韓東大教授のインタビューを掲載し、対ロ圧力への慎重な姿勢を促している。

キム教授は、ロシアのウクライナ侵攻について、どんな場合でも戦争は反対しなければならないとしながら、「しかし、生半可な行動は禁物であり、事態の推移を見守りながら、国際社会と歩調を合わせて連帯することが望ましい」としつつ、「同時に、軍事的支援や派兵はできないという立場を強力に堅持しなければならない」と強調した。
 
参考記事:米国営放送「韓国を除く同盟国全てが対ロ制裁に」「韓国の小心さは愚か…過去に大きな援助受けたのに」

参考記事:【解説】ロシアに接近する韓国 狙うは「鉄道利権」と外交打開

参考記事:韓国経済紙「日米が輸出規制議論へ…韓国の半導体優位は一瞬で崩れる」「先端技術は日米が握る」