韓国の国家負債比率がこのまま上昇し続ければ、10年後に国家信用等級(ムーディーズ基準)が一段階降格されるという分析が出ている。
(参考記事:韓国銀行レポート「家計貸付縮小で銀行の企業融資が歴代級の大幅増に」(22年5月動向))
韓国経済研究院(KERI)は16日、報告書「国家負債比率と国家信用等級及び成長率の間の関係分析と示唆点」を公表し、「国家負債比率が持続して上昇する場合、韓国は降格する閾値に達するだろう」と分析した。
IMF(国際通貨基金)は、韓国の国家負債比率が来年から2027年まで年平均2.81%ずつ上がると予想している。
KERIは2014~2019年のOECD(経済協力開発機構)36カ国(ポルトカル・コスタリカを除く)の国家負債比率と経済成長率、一人当たりGDP(国内総生産)、物価上昇率が国際信用評価会社の国家信用等級に及ぼす影響を分析した。
分析の結果、国家負債比率が1%p(ポイント)上昇した場合、国家信用等級点数は0.049~0.051点低くなることが分かった。
韓国の国家信用等級が一段階下落する国家負債比率閾値は68.6~69.5%であると分析された。
来年から韓国の国家負債比率が年間2.81%の速度で上昇する場合、閾値に達する時点は2032~2033年と計算された。 2032年と2033年の国家負債比率はそれぞれ68.7%と70.6%と推定され、国家信用等級が一段階降格される。
KERIは韓国の国家負債比率が閾値に達し、国家信用等級がムーディーズ基準「Aa2」から「Aa3」に降格した場合、経済成長率に及ぼす影響も分析した。
国家信用等級が一段階降格すれば、経済成長率は0.58%下がると推定された。
2021年の実質GDP(約1910兆ウォン=約200兆円)に基づいて金額に換算すると11兆1千億ウォン(約1.2兆円)になる。これは、信用格付けの下落によって、毎年11兆1千億ウォンのGDP損失が発生する可能性があることを意味する。
KERIは急速な高齢化と福祉支出拡大で国家債務比率が急速に上昇する蓋然性が高いと見ている。
チュ・グァンホKERI経済政策室長は「GDPを増加させながら国家負債を制御しなければならない」とし「規制緩和、税制支援、労働改革などで企業の経営活力を高める一方、厳格な財政準則を法制化する努力が必要だ」と述べている。
(参考記事:世界で急増するADAS関連特許…韓国企業の出願数多く 国籍別では日本が最大)