韓国研究機関、電子顕微鏡の核心装置「高性能エネルギー分析器」を国産化…英研究紙にも成果掲載

韓国標準科学研究院(KRISS)は、電子顕微鏡性能を左右する核心装置である高性能エネルギー分析器を開発し、国内装置企業への試験サービス提供を開始したと20日明らかにした。
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電子源から発生する電子ビームでレンズに焦点を合わせて物体を観察するため、電子顕微鏡性能は電子ビームを作り出す電子源が重要であり、電子ビームのエネルギー分布がどれくらい均一であるかを示すエネルギー幅を正確に測定することが高性能電子顕微鏡開発の前提条件となる。

これまで韓国企業が電子顕微鏡の開発に成功していたが、エネルギー幅測定に使用する精密エネルギー分析器がなく、実測値の代わりに資料上の数値を参考にしていた。
 
このように、個々の顕微鏡間の微細な性能差を確認することは困難であり、製品の性能検証に限界があった。

KRISSは2019年に独自のシミュレーションに基づいて設計技術を確保した後、今回レンズ方式の遅延電位エネルギー分析器の実物開発に成功した。
 
製作コストが数百万ウォン(数十万円)程度と安価ながら、13.8meV(ミリ電子ボルト)レベルの微細なエネルギー差を区別できる測定分解能を備えた。これは高価な走査電子顕微鏡など最先端の研究装置の性能評価に活用できる水準だ。

特にサイズが60mmに小さく独立した分析器として使用でき、顕微鏡の中に取り付けて電子源性能評価が可能な一体型顕微鏡の開発にも適用可能である。

KRISSは今回の成果で電子源のエネルギー幅測定プラットフォームを構築し、先月から国内企業体を対象に試験サービスに入った。

今年中、磁場、騒音、振動などの影響による電子顕微鏡の映像分解能性能評価プラットフォームをさらに構築し、総合的な試験サービスを提供する予定だ。

今回の研究成果は、科学研究のジャーナル紙である『マイクロスコーピアンドマイクロアナリシス』(Microscopy and Microanalysis、IF:4.099)に先月5日付で掲載された。
    
KRISSパク・インヨン研究装備性能評価チーム長は「高性能電子顕微鏡は素材、部品、バイオなど多方面に不可欠な装備であるにもかかわらず技術自立度が低かった」とし「今回の成果をきっかけに電子顕微鏡の部品からシステム全体にわたる総合性能評価プラットフォームを準備、国内企業の高性能顕微鏡市場進出を支援できるようになった」と話した。

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