「梨泰院事件で友人が死んでいくのに、笑って歌う人いた」…豪犠牲者の友人が訴える

ソウル・梨泰院(イテウォン)での集団圧死事故で友人を失った豪州国籍のネイサン・タバニティさん(24)が事故当時の状況について、「僕の友達が死んでいく中で、撮影して歌って笑っている人たちを見た」と涙ながらに訴えた。
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先月31日(現地時間)、豪州メディア「9News」などによると、タバニティさんは前日、自身のSNSを通して「今回の惨事は酒のせいで引き起こされたものではない。暴走するようなことはなかった。ゆっくりと苦しい状況になって行った」とし、「事故予防や警察力、救急サービスが不足して起こった」と強調した。

タバニティさんによると、友人のグレース・レチャドさん(23)はタバニティさんに会うため豪州・シドニーから韓国を訪れていた。事故があった先月29日夜はグレースさんの24回目の誕生日を控え、他の友人2人と共に梨泰院に向かった。この日、グレースさんは事故により命を失った。別の2人も重体となった。

彼ら一行は事故が発生した路地に立っていたところ、押されてくる人波に飲みこまれた。彼らはゆっくりと迫る圧迫に全身で耐え、結局、狭い空間に挟まれてしまった。人々の間で身動きも取れず、息もしづらかったという。

タバニティさんは「グレースは息ができないと言って苦しそうだった」と説明。また、「僕はやっとの思いで群衆から脱出できた。友人を助けたかったが、できなかった。友人が意識を失ったとき、彼女の手を握ったが、脈がなかった」と伝えた。

続けて、「友人が多くの人たちと共に死んでいく間、撮影して歌って笑っている人たちの姿を見た」とし、「警察(人員)が十分ではなく、群衆を止める人がいなかった。僕らは《後ろに下がって。人が死にそうです》と叫んだが、誰も聞いていなかった」と述べた。

タバニティさんは警察が到着するまでに30分、近くにいた一般の人たちに(犠牲者が)心肺蘇生法(CPR)を受けるのに1時間かかったと主張。救助隊の到着にはそれ以上の時間がかかったという。彼は「医療関係者でなくてもCPRをできる人が、地面に倒れた人たちにCPRを実施していた」と振り返った。

警察や救助隊が到着した後も混乱する状況は続いたと話す。タバニティさんは「友人の傍にいたかったが、警察が阻止した。亡くなった友人が担架に乗せられたのは見たが、その後は居所さえ把握できなかった」と吐露した。

タバニティさんは事故の翌日、グレースさんの行方を探すため、行方不明者申告センターに出向き涙を流す姿が海外メディアのカメラに捉えられていた。

グレースさんの遺族は豪州現地のメディアインタビューで「笑顔で周りを明るくしてくれる美しい天使」だったと述べた。

一方、韓国政府の中央災難(災害)安全対策本部によると、1日午前11時現在、今回の事故による死者は156人、負傷者は151人となり、外国人の死者は14カ国の26人と確認された。

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