韓国紙「2兆投じた日本のロケット、打ち上げ15分で粉砕」「でも技術力は非常に高い」

韓国各紙は7日、打ち上げに失敗した日本のH3ロケットについて一斉に報じる一方、その技術力やコストパフォーマンスについても注目する報道も出ている。

(参考記事:韓国貿易協会「水素技術の国際特許、欧州が28%、日本が24%保有」「韓国は初期段階」

日本航空宇宙開発機構(JAXA)が主導し開発したH3ロケットは7日、打ち上げに失敗した。H3は2014年から約2060億円をかけて開発された2段型ロケットだ。JAXAと文部科学省(8日)などによると、H3は1-2段を正常に分離したが、2段エンジンが点火されず、飛行終了システム(FTS)により空中で破壊された。韓国各紙も「日本のロケット開発に痛手」「日本の宇宙事業に躓き」「また失敗」などの見出しでこれを報じた。

一方で韓国の大手経済紙マネートゥデイ(8日)、「2兆投入の日本ロケット、打ち上げ15分で《粉砕》...それでも屈辱ではない理由」というタイトル記事を掲載し、韓国のロケット専門家への取材などを通じ、日本のH3ロケットの優秀性に注目した。(※2兆ウォン=日本円で約2千億円=H3ロケット開発費用)

同紙は、専門家への取材をもとに日本のロケットは商業用打ち上げ市場参入のために開発されており、市場で競争力を得るために様々なコスト削減技術が適用されていることを指摘。同紙は「JAXAが三菱重工業など民間企業とロケットを開発しているため、企業がロケット分野で競争力を持つためには新技術を適用したコスト削減が必要だからだ」と伝えた。

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韓国の宇宙事業の司令塔である韓国航空宇宙研究院(KARI)の関係者は同紙に対し、H3がコスト削減のために3Dプリンティングを活用してロケット部品を作っていることや、自動車に搭載されるエビオニクス(ロケット内部コンピューター)などを積極的に取り入れていると説明している。

H3ロケット/JAXAウェブサイト

韓国の科学系メディア・東亜サイエンスも9日、「H3は打ち上げ費用をH2Aの半分水準である5000万ドルに合わせる方向で設計された。設計上、推力も日本がこれまで開発した発射体をすべて超えながら、安価な打ち上げ費用を確保することが目的だった」と分析している。

一方、先述のKARI関係者はマネートゥデイ紙に対し、「日本が液体水素を燃料として使用するエンジンを保有しているということだけでも、世界で最も難易度の高い技術を開発したことを意味する」とし、水素燃料は韓国型ロケット「ヌリ号」が使うケロシンや米国のスペースXが使うメタンよりも非水力が高く、商業市場で価格競争力があるなどと述べている。

また、韓国科学技術院(KAIST)の教授も、韓国のロケット技術がまだ「日本と比べて格差が大きい」ことや「日本は今回の打ち上げに失敗したが、1966年に最初の宇宙発射体を打ち上げたほど技術成熟度が高い」と述べたとマネートゥデイは伝えた。

この報道をみた韓国のネットユーザーからは以下のようなコメントが投稿されいている。

「日本は正直嫌いだけど、(今回のことは)笑うことではない。韓国よりロケット技術や宇宙関連技術は数十年先を行っているのに、失敗したと笑うほどバカなことはない」
「北韓に向けて撃ちながら、打ち上げ失敗したと言う前振りじゃないだろうな」
「こういうのに一度成功しておけば、今後数十年は食べていけるのだ。先進国とは、このような革新の試み、失敗と成功で成り立っているのであって、お金だけが多いから良いのではない。誰がサウジアラビアとカタールを先進国と呼ぶ?」
「水素エンジンがメタンエンジンに比べて比推力が少し良いが、取り扱い費用が何倍もかかるので選択肢を少し考える必要があるかも」
「世界は今、防衛兵器・宇宙・通信など打ち上げる発射体技術覇権の戦争中だ」

以上 コリアエコノミクス編集部 (画像=Pixabay)

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