半導体の性能に影響を与える要素は非常に多岐にわたる。その中でも、半導体素子における電荷(charge)がどれだけ速く移動するかを示す電荷移動度は重要な要素の一つである。しかし、商用基板を使用する半導体で電荷移動度を向上させることは、長年解決が難しい課題として残されていた。最近、粒子ビームを活用してこの問題を解決する糸口が見つかり、注目を集めている。
韓国原子力研究院の陽子科学研究団は、シリコン基板の商用半導体に窒素粒子ビームを注入することで、電荷移動度を大幅に向上させる技術を開発したと10日に発表した。研究を主導した同研究院のパク・ジュンギュ博士のチームは、半導体材料が左右から引っ張られる力を受けたり、凸型に変形すると電荷移動度が向上するという原理に着目した。
従来、柔軟性に欠けるシリコン基板に人工的な力を加えることは困難だった。そこで研究チームは、粒子ビームを注入してシリコン酸化絶縁膜(SiO₂)を膨張させる新たな方法を開発した。具体的には、半導体素子で電流が流れる必要がある酸化亜鉛(ZnO)半導体薄膜の下にドーピングされたシリコン酸化絶縁膜に窒素粒子ビームを注入した。このプロセスにより絶縁膜が膨張し、上部の半導体薄膜が引っ張られる構造を実現した。
実験の結果、粒子ビームを注入したシリコン酸化絶縁膜は1.18%膨張し、半導体薄膜に引っ張る力を発生させた。その結果、