【無料記事】韓国光技術院、環境に優しい量子ドットカプセル色変換素材を開発

韓国光技術院は19日、次世代ディスプレイ用のQD(量子ドット・Quantum Dot)-OLED(有機発光ダイオード)に適用可能な環境に優しいAIGS量子ドットカプセル色変換素材を開発したと発表した。

従来の量子ドットOLEDは、色純度が優れているという利点があるが、熱安定性が低く高輝度の実現が困難であり、水分に対する安全性が低いという欠点があった。

現在使用されているInP量子ドットは、青色領域での光吸収率が低いため、青色光の漏洩現象が発生し、その結果ディスプレイの光変換効率も低下している。

韓国光技術院の無機発光ディスプレイ研究センターに所属するソン・ヨンヒョン博士の研究チームは、民間企業や大学などと共同でこの素材を開発した。この素材は、効率を損なうことなくAIGS(銀・インジウム・ガリウム・硫黄)量子ドットを高濃度で濃縮でき、水分と酸素を遮断することで有機層および無機層へのコーティングが可能である。

新技術では、マイクロン高分子粒子内部で位置を固定し、カプセル化が可能であるほか、表面を無機酸化物層でコーティングすることで量子ドットを保護し、温度や溶媒などの環境でも安全性を確保している。

新たに製造された量子ドットカプセルを活用すれば、色変換フィルムだけでなく、粉末形態での製造も可能であり、QD-OLEDやマイクロLED(発光ダイオード)など、さまざまな次世代ディスプレイへの適用が期待されている。

AIGS量子ドットは、自ら光を放つ数ナノメートルの半導体結晶であり、量子効率と色純度に優れているため、ディスプレイの色再現性向上を目的とした素材技術として利用される。

無機発光ディスプレイ研究センター所長のチョン・シウクは、「今回開発された環境に優しいAIGS量子ドットカプセル技術は、製造工程を簡略化し、信頼性を向上させた」と述べ、「ディスプレイ分野だけでなく、センサー、自動車、照明、医療分野にも拡大適用が可能だ」と強調した。