【韓国スーパーカー列伝③】N Vison 74:現代車の秘密兵器はデロリアン仕様…電気&水素のハイブリッド

前二回の記事ではやや悲しい結末となった韓国製スーパーカーについて触れたが、いずれも大手ではない新興自動車ベンチャーが製作した車両だった。今回は韓国最大の自動車メーカーである現代自動車のスーパーカー構想について見てみよう。

(参考記事:【韓国スーパーカー列伝②】スピラ:艱難辛苦を舐めた”伝説の車” モチーフは朝鮮虎

日本では軽視されがちな現代自動車だが、同社は今や販売台数で世界3位(昨年基準)に上り、世界カーオブザイヤーでもこれまで二台の車両(テルライド、アイオニック5)が最高賞に選出されるなど、有力な自動車メーカーとなっている。

アイオニック5/HYUNDAI

電気自動車や水素燃料自動車なども積極的に動き、WRCでも活躍するようなスポーツカーも開発する現代自動車だが、実はスーパーカーについても開発中だったことが最近分かっている。

昨年9月、現代自動車の前研究開発本部長兼社長だったアルバート・ビアマン現技術顧問は、国内外のマスコミとインタビューにおいて、現代車が高性能ラインナップのためにミッドシップスーパーカー開発を進めていると明らかにしたことがある。 しかし、最終的には最高経営陣がスーパーカーの投入に難色を表明し、スーパーカー構想は一旦ストップしたと伝えられた。

しかし、今月19日、カースクープ紙の記事によると、現代自動車のデザインディレクターであるハク・スハ氏は同紙の取材に対し「現代車のスーパーカー開発は依然として可能性がある」と答えたことが分かった。

RN22e(右)とN Vision74(左)/HYUNDAI

具体的な性能や販売時期などについては不明だが、現代自動車が依然としてスーパーカーレベルの新車開発を進めていることが把握された。

一方で現代自動車は昨年7月、高性能Nブランド電動化ビジョンに基づくコンセプトカーとして「RN22e」と「N Vision 74」を世界初公開している。

このうち「N Vison74」はリアに搭載される2個のモーターにより最大出力680hp以上、最大トルク91.8kgm以上を発生させ最高速は250km/h以上に到達する。スーパーカーといっても過言ではない性能だが、一部では量産化も念頭にテスト走行が繰り返されているという見方も一部では出ているようだ。

N Vision74/HYUNDAI

スーパーカーなら時速300km/hは必要だとの意見もあるだとうが、スーパーカーを一度もローンチしたことがない現代自動車にとって、今から欧米や日本のスーパーカーとスピードで張り合うのは大変だ。それよりも電気+水素燃料というエコ仕様とデロリアン譲りのデザインでアピールした方が差別化には良いのではないだろうか。いずれにしろ、EVは加速が得意であり、この分野での競争が無意味になる時代、新たな概念がスーパーカーにも必要になる。

N Vision74/HYUNDAI

近年、コスパの良さとデザイン性を軸に世界で販売シェアを伸ばしている現代自動車だが、スーパーカーについても何らかの競争戦略を考えていてもおかくしないはずだ。

以上 コリアエコノミクス編集部

(参考記事:【韓国スーパーカー列伝➀】エピックGT1:財閥御曹司が大金投じた845馬力のドリームカー
(参考記事:韓国現代自動車、フェラーリのデザイナーを引き抜き…F12ベルリネッタなど手掛けた実力者
(参考記事:「世界カーパーソンオブザイヤー」に韓国現代車デザイナーが選出 トヨタ坂本氏との決戦制す

(参考記事:米モータートレンド誌「業界影響力1位は現代自動車会長」「豊田章男社長は30位」
(参考記事:世界カーオブザイヤーに韓国車2台が最終候補選出…日本車は?
(参考記事:【韓国自動車名鑑➀】グレンザー:ソウル五輪時に三菱と開発した”韓国のクラウン”…今も大人気