韓国UNIST「バッテリー火災予防する不燃性半固体電解質を開発」

バッテリー火災を効果的に抑制できる「不燃性半固体電解質」を韓国の研究陣が開発した。

蔚山科学技術院(UNIST)は、エネルギー化学工学科のソン・ヒョンゴン教授と韓国化学研究院精密化学研究センターのチョン・ジョンヒョン博士、韓国エネルギー技術研究院蔚山次世代電池研究開発センターのキム・テヒ博士の共同研究チームが、バッテリー内で分子結合が可能な不燃性高分子半固体電解質を開発したと17日明らかにした。

※UNISTの当該発表文全文(ハングル):https://news.unist.ac.kr/kor/newsletter/20231017/

UNISTによると、バッテリー火災は外部要因や内部短絡で内部に熱が蓄積され、電解質とアノードが分解され、化学的ラジカル連鎖反応が進行して熱暴走が起きながら発生する。

ラジカルは一つの電子を持つ原子または分子で、非常に不安定で化学的反応性が高い。

これまで不燃性電解質には過量の難燃性添加剤を使用したり、非常に高い沸点の溶媒を使用したりしたが、このような電解質は高い粘度でイオン伝導度が非常に低く、電池の性能を低下させるなど、様々な欠点があった。

そこで研究チームは、電解質に微量の高分子を添加した半固体電解質を作った。

高分子半固体電解質は、従来の液体電解質に比べて33%の高いリチウムイオン伝導度を示した。

これを活用したポーチ型電池は、寿命が従来よりも110%向上した。

また、バッテリー内で重合された高分子と揮発性溶媒との相互作用を利用してラジカル連鎖反応を抑制したと研究チームは説明した。

ソン・ヒョンゴン教授は「UNIST研究チームは電気化学、韓国化学研究院は高分子合成、韓国エネルギー技術研究院はバッテリー安全性実験など3機関が協業して研究した」とし、「高分子を活用した半固体電解質は、既存のバッテリー組立工程にもすぐに適用でき、今後の不燃性バッテリーの商用化を加速させるだろう」と述べた。

今回の研究は、国内5件、海外2件の特許を出願し、エネルギー分野学術誌「ACS Energy Letters」(ACS Energy Letters)の表紙論文に選ばれ、10月13日にオンラインに掲載された。

※論文名: Fire-Inhibiting Nonflammable Gel Polymer Electrolyte for Lithium-Ion Batteries

研究は科学技術情報通信部の韓国研究財団、韓国産業技術企画評価院、韓国化学研究院、Samsung SDIの支援を受けて行われた。

※アイキャッチ画像:ACSエナジーの当該表紙