韓国SKTのスパコン、日本のJAXA上回る性能に…世界2位「富岳」との差は?

韓国通信大手SKテレコム(SKT)が自社のスパコン「タイタン」(Titan)の性能を従来比2倍に拡大構築したと12日、明らかにした。タイタンは世界スパコンランキング85位に入るが、今回の増強で30位以内に入るスペックを備えることになる。

(参考記事:韓国紙「日本が2025年に量子コンピューター実用化へ」…スパコンでは日韓格差大きく

SKテレコムはAI(人工知能)型の対話アプリシステム「Aドット」を運営しており、その稼働には高性能のスパコンを必要とする。SKTは2021年からスパコンシステムを構築して自社運営しているが、今回、NVIDIAのA100グラフィックス処理装置(GPU)1040個で新たに増設した。従来比で2倍以上の規模だ。

SKTのスパコンはこれによって17.1ペタフロップス(PFLOPS/1秒あたり1千兆回の数学演算処理)以上の性能を有することになる、グローバルレベルの性能を備えることになったとSKTは説明した。 1PFLOPSは1秒に1000兆回の浮動小数点(コンピュータの実数認識法)演算が可能な速度であるが、17.1PFLOPSは1秒あたり1径7100兆回の演算処理が可能な数値である。

SKTは今回のスパコン拡大構築を通じて、同社の超巨大AIモデルである「Aドット」が従来よりも精巧な学習を可能にしてくれると期待している。

SKTのスパコン「Titan」

SKTのスパコンは世界のスパコンランキングトップ(Top)500(昨年11月基準)で92位に入っていた。Top500財団は毎年2度性能集計を実施し、これをもとに全世界のスパコン性能ランキングを発表している。

今回の増強で引き上げられた17.1PFLOPSという能力値を、Top500の最新(昨年11月)のランキングで単純比較したところ、当時16.59PFLOPSで39位につけていたJAXAのスパコン「TOKI-SORA」を一ランク上回る性能になることが分かった。93位からの大幅なランクアップとなる。

ちなみに、同ランキングで韓国のスパコンは他に、サムスンの「SSC-21」(25.18PFLOPS)が18位に、韓国気象庁の「Guru」と「Maru」(いずれも18.00PFLOPS)が35位と36位につけている。

一方の日本は、理化学研究所の「富岳」(443.01PFLOPS)が2位、先に挙げたJAXAのスパコン「TOKI-SORA」(16.59PFLOPS)が39位、海洋研究開発機構の「Earth Simulator -SX-Aurora TSUBASA」(9.99PFLOPS)が56位につけている。(他6台が100位以内にランクイン)

スパコンの性能をめぐっては、日本の「富岳」が一時世界1位を記録していたこともあり、韓国でも性能向上を求める声がメディアなどで多く出ている。

(参考記事:韓国紙「世界1位《富岳》の天下は長続きしない」 サムスンのスパコンが上位登場
(参考記事:量子暗号分野の特許数で韓国は世界4位…10年で2倍に急増 日本は世界2位も減少傾向
(参考記事:韓国紙「日本の半導体装置企業が韓国で相次ぎ工場拡張」「競争生き残るため」

(参考記事:韓国紙「中国で日本製半導体製造装置の問い合わせ殺到…輸出規制控え」
(参考記事:韓国紙「日本が欧州で水素タービン市場開拓…23兆円規模」 韓国も国産化進むがリスクも
(参考記事:韓国貿易協会「水素技術の国際特許、欧州が28%、日本が24%保有」「韓国は初期段階」