韓国サムスンディスプレイが第8世代有機発光ダイオード(OLED)の量産を始めるにあたって、OLEDプロセスの主要装置となる蒸着機について、日本のキャノントッキとの間で交渉が進展したとの見方が浮上している。
(参考記事:韓国紙「日本の蒸着機1台に1500億円…投資ジレンマに陥る韓国ディスプレイ業界」)
韓国の有力専門メディア「THE ELEC」によると、サムスンディスプレイは、韓国内機器メーカーにIT用8世代OLED機器の発注を開始した。これらの企業は先月26日に契約を受注したという。
当該記事原文(ハングル):https://www.thelec.kr/news/articleView.html?idxno=21343
今回の発注は、サムスンディスプレイが4兆1000億ウォン(約4千億円)を投資するIT製品用8世代OLEDライン用装備だ。同紙は、「一部の業界関係者は、サムスンディスプレイとキヤノントッキとの間の価格交渉が進展して発注が行われたとみられ、他の装備も順次発注されるものと予想される」と伝えた。
一方で、同紙は「サムスンディスプレイがキヤノン(トッキ)との価格交渉で圧力をかける可能性もあり、アップルに支援を要請する可能性もある」としつつ、蒸着機の核心技術であるチャンバーを他の業者に任せる可能性についても触れた。
サムスンディスプレイとキヤノントッキとの蒸着機価格交渉については先日、別の韓国メディア「チョソンビズ」が、1台1兆5千億ウォン(約1500億円)の価格をキャノン側が要求していると伝え、サムスン側が懸念を示しているとの報道がなされていた。
蒸着は、真空中で有機材料を加熱してパネル基板に取り付けるOLEDパネル製造の必須プロセスだ。サムスンディスプレイは当初、日本のアルバックの垂直蒸着装置を8世代蒸着プロセスで導入しようとしていたが、チョソンビズ紙によると、技術的な問題からアップルが拒否感を示し、キヤノンの水平蒸着装置を導入する方針に変更したと伝えられていた。
(参考記事:韓国紙「日の丸企業JOLEDが破綻…韓中との競争に敗北」)
(参考記事:「LGディスプレイ、大型有機EL黒字転換予想」韓国証券社)
(参考記事:ロイター「LGがサムスンに有機ELパネルを供給へ」 韓国二大メーカーの提携に注目)