今年4月にサムスンディスプレイが8世代の有機発光ダイオード(OLED)の量産を公言し、関連装置を複数の韓国企業に発注したことも明らかになっているなか、核心装置である蒸着機の発注の有無が焦点になっている。
新技術の趨勢や経済効果の高さから、韓国メディアの間で関心を集めているこの案件だが、サムスンディスプレイ側が最近、日本のキャノントッキから1台約1千億円で蒸着機を発注することで合意したとの報道が出ていた。同蒸着機をめぐっては、当初キャノントッキ側が約1650億円を要求していたが、これにサムスンディスプレイ側が難色を示していたとの見方も一部メディアから出ていたことから、サムスンディスプレイ側に有利な条件で交渉が決着したとみられいた。
しかし、韓国のエレクトロニクス系最有力メディアである「THE ELEC」は、サムスンディスプレイ側はまだキャノントッキ側に蒸着機を発注していないことが確認されたと28日に報じた。
当該報道原文(ハングル):https://www.thelec.kr/news/articleView.html?idxno=21773
その理由について同紙は、「サムスンディスプレイのIT用8世代OLED投資は決定されたが、(最大顧客である)アップルのOLEDマックブックの仕様がまだ具体化されていないため」との推測を示している。
続けて「OLEDマックブックの仕様が具体化されて初めて、マックブックのサイズに最適化された8世代ガラスディスクのサイズなどを反映してサムスンディスプレイがキヤノンに蒸着機を発注することができる」と伝えた。
サムスンディスプレイのチェ・クォンヨン副社長は、今年第1四半期(1~3月)決算後のカンファレンスコールで「最近、高画質コンテンツが拡大し、OLEDスマートフォンに慣れた消費者がIT機器にも同様の性能のOLEDを要求している」とし、「需要に対応するために投資を進めている」と述べていた。
実際、サムスンディスプレイはすでに先月末から韓国内のOLED関連の複数企業に発注を行っている。韓国金融監督院の電子公示システムによると、サムスンディスプレイは先月末から、フィルオプティクス、ヒムス、HBソリューション、ICDなど韓国のディスプレイ機器協力会社と供給契約を結んだことが<a href="https://korea-economics.jp/posts/23060201/" title="サムスンD、8世代OLED機器を韓国企業に先月一斉発注…蒸着機の調達先にも関心高まる">判明している。
(参考記事:キャノントッキ、サムスンに1千億円で8.6世代OLED蒸着装置を供給か…韓国紙報じる)
(参考記事:「ビジョン・プロに韓国企業の部品多数」「第3世代でブレイクか」韓国証券会社予想)
(参考記事:サムスンD、8世代OLED機器を韓国企業に先月一斉発注…蒸着機の調達先にも関心高まる)