サムスンD、8世代OLED機器を韓国企業に先月一斉発注…蒸着機の調達先にも関心高まる

第8世代の有機発光ダイオード(OLED)製造のため4兆1千億ウォン(約4340億円)を投資すると宣言しているサムスンディスプレイが、先月末、韓国内のディスプレイメーカーに関連機器を発注したことが分かった。

韓国のディスプレイは、韓国のディスプレイ機器メーカーに発注を行った事実は、これら発注を受け取った企業の公示で分かった。一定額以上の契約は公表する義務があるからである。フィルオプティクスとFNエステック、KCテック、ヒムスなどはサムスンディスプレイと単一販売・供給契約を締結したことを先月末に一斉に明らかにした。

契約規模はフィルオプティクスが630億ウォン(約69億円)、FNエステックが360億ウォン(約38億円)、KCテックが357億ウォン(約38億円)、ヒムスが218億ウォン(約23億円)などだった。

※フィルオプティクスの公示:https://kind.krx.co.kr/common/disclsviewer.do?method=search&acptno=20230530000264
※FNエステックの公示:https://dart.fss.or.kr/dsaf001/main.do?rcpNo=20230530900065
※KCテックの公示:https://dart.fss.or.kr/dsaf001/main.do?rcpNo=20230530800311
※ヒムスの公示:https://dart.fss.or.kr/dsaf001/main.do?rcpNo=20230530900136
(公示はすべてハングル)

フィルオプティクスはセル工程に必要なレーザー切断装置、FNエステックは薄膜トランジスタ(TFT)工程に必要な湿式エッチング装置、ヒムスは引張機、KCテックは洗浄装置などを製作して供給する予定だ。

上記4社以外にも受注している金額が公示義務を下回っていたり、発注が内定している韓国企業もあると推測される。

サムスンディスプレイの第8世代OLED量産を巡っては、主要装置となる蒸着装置をめぐって、同装置の最有力企業である日本のキャノントッキとの間で価格交渉が行われていると韓国主要メディアなどが報じていた
。キャノントッキ側は1台1兆円台(日本円で1千億円台)の価格を求めているが、サムスンディスプレイ側はこれに難色を示しているとの見方が伝えられている。

今回の韓国内企業への一斉発注により、キャノントッキ側との交渉が進展した可能性が指摘される一方、それ以外の企業からの調達をいまだ模索しているとの見方もある。同じく8世代OLEDの量産を目指すLGディスプレイは、韓国企業ソニックシステムから同装置を調達するとの見方も4月ごろから出ており、ソニックシステムも株価は上昇基調にある。

次世代ディスプレイの趨勢をめぐっては、韓国内でもその経済効果や、各企業への波及効果や株価への影響が小さくないだけに、メディアや投資家の関心が高まっているようだ。

(参考記事:1台1500億円?…韓国紙「サムスンとキャノンのOLED用蒸着機交渉に進展か」
(参考記事:韓国紙「日本の蒸着機1台に1500億円…投資ジレンマに陥る韓国ディスプレイ業界」
(参考記事:「LGディスプレイ、大型有機EL黒字転換予想」韓国証券社