キャノントッキ、サムスンに1千億円で8.6世代OLED蒸着装置を供給か…韓国紙報じる

サムスンディスプレイが日本のキャノントッキとの間で、8.6世代OLED(有機発光ダイオード)蒸着装置の供給について、1000億円水準で合意したと韓国メディアが報じた。

韓国の経済紙KIPOSTは16日、このように報じ、「サムスンディスプレイは、これまで蒸着装置単価の面で合意に至らず、キャノントッキと交渉を続けてきた」としつつ、今回ようやく合意に至ったことを伝えた。

※KIPOSTの当該報道:https://www.kipost.net/news/articleView.html?idxno=310393

蒸着装置をめぐる両社の交渉については、その価格や韓国産業界への波及の大きさから、これまでも韓国各紙が関心を示してきたが、いずれも記事も、その価格の高さにサムスンディスプレイ側が難色を示しているとの見方が多かった。キャノントッキ側は1兆5千億円(約1657億円)を要求しているとの報道もあった。

KIPOSTの報道が事実であれば、報じられていたラインより大幅に下回る価格で交渉が決着したことになる。両者の価格交渉については、最終需要者である米アップルの意向が鍵を握っているとの見方も韓国メディアから出ていた。

サムスンディスプレイはすでに先月末から韓国内のOLED関連の複数企業に発注を行っている。韓国金融監督院の電子公示システムによると、サムスンディスプレイは先月末から、フィルオプティクス、ヒムス、HBソリューション、ICDなど韓国のディスプレイ機器協力会社と供給契約を結んだことが判明している。契約規模はICD 635億ウォン、フィルオプティクス630億ウォン、HBソリューション247億ウォン、ヒムス218億ウォンだ。

ICDはドライエッチャーとパネル用真空物流装置を生産する企業であり、フィルオプティクスは、フレキシブル(曲がる)OLEDをはじめ、様々な材質の基板を切断加工できる装置を作るメーカーだ。HBソリューションは、ディスプレイ測定検査設備とインクジェット装置を生産する企業であり、ヒムスはマスク引張機設備を納品する企業だ。

これら企業とサムスンディスプレイとの装備契約締結は、8.6世代IT用OLED生産のための投資の一環として行われた韓国各紙は伝えている。サムスンディスプレイは去る4月、8.6世代IT用OLEDパネル生産のために4兆1000億ウォンを投資すると明らかにしている。

サムスンディスプレイのチェ・クォンヨン副社長は、第1四半期決算後のコンファレンスコールで「最近、高画質コンテンツが拡大し、OLEDスマートフォンに慣れた消費者がIT機器にも同様の性能のOLEDを要求している」とし、「需要に対応するために投資を進めている」と述べている。

(参考記事:サムスンD、8世代OLED機器を韓国企業に先月一斉発注…蒸着機の調達先にも関心高まる
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