特許庁(長官李仁實)は、人工知能(AI)を発明者として記載した特許出願*に対する特許庁の無効処分に不服して昨年12月にソウル行政裁判所に提起された行政訴訟事件と関連し、ソウル行政裁判所は、現行法上、人だけが発明者として認められるという理由で特許庁の無効処分を支持する判決(‘23.6.30.)を下したと明らかにした。
* 米国の人工知能開発者(スティーブン・テイラー)が自分が開発した人工知能が食品容器など2つの異なる発明を自らしたと主張→全世界16カ国に特許出願[添付1].
米国・欧州・オーストラリアでも最高裁判所(最終裁判所)で人工知能を発明者として認めないことが確定され、英国・ドイツでは最高裁判所に係属中で、アジアでは初めて韓国の裁判所で判決として人工知能を発明者として認めなかった。
このような主要国の裁判所結果にもかかわらず、人工知能が①数ヶ月かかっていた半導体チップを6時間で完成したり、②COVID-19ワクチンの安定性を高めて効能を100倍以上増加させるなど、人がしていた仕事を人工知能が代替する事例が増えている[添付2]。特許分野ではないが、最近、人工知能が美術、音楽などの著作物制作に貢献した事例が相次いで現れており、米国著作権庁では、人が表現創作物と人工知能が作った成果物が相互に結合された著作物について、人を著作者として著作権として登録するという指針を今年3月に発表した[添付3]。
韓国特許庁は、このような人工知能技術の発展速度を考慮し、今後起こりうる特許制度の変化に備えるため、様々な議論を行ってきた。先月、米国で開かれたIP5(韓国、米国、欧州、日本、中国)長官会議で、韓国特許庁が提案した「人工知能発明者関連法制の現状と判例の共有」議題が議題として最終承認される成果を得た。また、主要国の産業界の要請により、人工知能関連発明*に対するIP5共通の審査基準を提示することも議題として採択された。
* 人工知能はビッグデータを内部アルゴリズムを通じて自ら学習するため、人工知能技術関連発明の内容をどの程度まで詳細に記載すべきか明細書記載要件の問題が発生。
IP5長官会議のフォローアップとして、我が国特許庁は、特許庁ホームページに「人工知能と発明(仮称)」コーナーを7月20日付で開設する計画である。このコーナーには、人工知能を発明者として認めるかどうかに関する国内外の議論事項及び主要国の裁判所判決、人工知能関連発明の審査基準などが公開される予定だ。
そして、今後必要な特許法制の改正方向を公正かつ透明に定めるため、上記のホームページのコーナーを活用して7月20日から9月末まで国民アンケート(Public Consultation)を実施する予定である[付録4]。 さらに、10月には、国民アンケート結果を参考に2021年度にも運営した産業界、学界、研究界などの人工知能専門家協議体を再構成し、人工知能発明者に対してどのような特許法体系を備えるべきか、韓国の立場を整理していく計画だ。
このような国民的議論の結果を基に、今年10月に開かれる世界知的財産機構(WIPO)の特許法制定委員会(SCP)*と、来年6月に韓国で開催されるIP5長官会議を通じて国際知的財産会議体に韓国の立場を伝える計画だ。
* “人工知能発明者の法的地位”が議題として上程されている。
李仁實特許庁長は「今回のIP5長官会議を通じて、主要国の特許庁だけでなく、産業界でも人工知能に関連する様々な知的財産権イシューに関心を持っていることを実感することができた」とし、「今後、我が国がIP5、世界知的財産機関(WIPO)などとの人工知能関連特許制度の議論において主導的な役割を担い、国際的に調和された特許制度を確立していきたい」と明らかにした。