韓国電気研究院「Sic電力半導体技術をハンガリー企業に移転」発表

韓国電気研究院(KERI)が「炭化ケイ素(SiC、silicon carbide)電力半導体イオン注入評価技術」をハンガリー企業に技術移転することに成功したと明らかにした。

電力半導体は電気・電子機器の核心部品で、電流の方向を調節し、電力変換を制御するなど、人間の体でいえば筋肉のような役割を果たす。電力半導体の素材はいくつかあるが、その中でもSiCが高い耐久性と電力効率を示すなど、材料特性が優れており、最も注目されている。SiC電力半導体が電気自動車に搭載される場合、バッテリーの電力消費を減らし、車体の重量と体積を減らして最大10%のエネルギー効率改善が期待できる。

※KERIの当該発表文(ハングル):https://www.keri.re.kr/_prog/_board/?mode=V&no=14443&code=sub0601&site_dvs_cd=kr&menu_dvs_cd=0601&skey=&sval=&s_date_y=&s_date_m=&GotoPage=

SiC電力半導体の利点が多い分、製造工程も非常に難しい。従来は、導電性の強いウェーハ(基板)の上にエピ層(単結晶の半導体薄膜を形成した層)を形成し、その領域に電流を流して素子を形成する方法を活用していた。 しかし、この過程でエピ層の表面が粗くなり、電子の移動速度が低下するという問題が発生した。また、エピウエハー自体の価格も高く、量産化の大きな障害となっていた。

写真:技術移転協約式の様子(KERI提供)

これを解決するため、KERIはエピ層がない半絶縁SiCウェーハにイオンを注入する方式を活用した。ウェーハが導電性を持つようにするイオン注入は、半導体の生命を吹き込む作業だ。

SiC素材は硬いため、非常に高いエネルギーでイオンを注入した後、高温で熱処理して活性化しなければならないなど、実際のイオン注入の実現が難しい技術だった。しかし、KERIが10年以上にわたり積み重ねてきたSiC専用イオン注入装置の運用経験を通じて、関連技術を確保することに成功したとKERIは強調している。

KERI次世代半導体研究センターのキム・ヒョンウ研究センター長は「イオン注入技術は、半導体素子の電流の流れを高め、高価なエピウエハーを代替して工程コストも大幅に削減できる」とし、「高性能SiC電力半導体の価格競争力を高め、量産化に貢献する大きな技術」と話した。

KERIによると、今回の成果は、ハンガリー・ブダペスト所在の半導体測定装備専門企業である「セミラボ(株)(Semilab、会長Tibor Pavelka)」に最近技術移転された。30年業歴のセミラボ(株)はハンガリーと米国に製造工場を持ち、中堅精密計測装備及び素材特性評価装備の特許を所有している企業で、半導体特性評価装備技術では世界最高の技術力を保有している。

両者は今回の技術移転を通じて高品質のSiCを規格化することができると見ている。セミラボ(株)は、KERIの技術を活用してSiC電力半導体のイオン注入工程を評価できる専門装備を開発する計画だ。セミラボコリア(株)の代表であるパク・チュンヨン支社長は「専門装備の開発を通じて、イオン注入工程で発生する不良率を下げ、素子の歩留まりを高めることができるだろう」とし、「優れた均一性と再現性のある高品質のイオン注入量産工程を安定的に確保する大きな基盤になるだろう」と話した。

一方、KERIは科学技術情報通信部国家科学技術研究会傘下の政府出捐研究機関だ。電力半導体研究分野では、合計120件以上の知的財産権を保有しており、最近10年基準で30億ウォン以上の技術移転実績を達成したとKERIは明らかにしている。