LGDとLG化学「全量輸入してきたOLED核心素材の国産化に成功」発表

LGディスプレイとLG化学は、これまで海外メーカーが独占してきたOLED(有機EL)の核心素材の国産化に成功したと発表した。
 
LGディスプレイとLG化学は9日、これまで全量輸入に頼っていたOLEDの核心素材「pドーパント(dopant)」を両社の独自技術で開発したと明らかにしている。

※LG両社の当該発表文(ハングル):https://www.lg.co.kr/media/release/26844

ドーパントは素子効率と色純度、寿命などを高めるためにOLED発光層に添加する化合物で、その中でもpドーパントはOLED発光効率の画期的な向上と素子寿命の延長、消費電力の低減に最も重要な役割を果たす。ただし、空気中で容易に変質する特性のため、開発難易度が最も高いOLED素材の一つとされている。
 
LGディスプレイとLG化学は、10年以上にわたりp-ドーパントの国産化を目指して共同研究を行った結果、独自技術で既存の輸入材料と同等の効率と性能の素材開発に成功したと説明している。
 
LGディスプレイが材料設計提案と性能検証を行い、LG化学が材料合成と材料生産を担当するなど、両社のシナジー効果を最大化した結果であるとのこと。
 
LGディスプレイのユン・スヨン最高技術責任者(CTO-副社長)は、「2013年に世界初の55インチOLED TVパネル量産に成功して以来、10年間培ってきた技術力を結集し、核心素材まで独自開発することで、OLED技術リーダーシップを一段と強化するきっかけを作った」と述べた。
 
特に、タンデム(Tandem) OLED(有機発光層を2層以上重ねる技術)のように多層構造のOLEDほど多量のpドーパントが投入されるため、関連素材の確保の重要性がさらに高まっているというのがLG両社の説明だ。
 
今回のpドーパントの国産化により、LGディスプレイは独立的で安定的な供給網を構築すると同時に、独自特許まで確保し、グローバルOLED市場を主導できる新たな原動力を追加することになったとLG両社は強調した。
 
LGグループは、今回の成功が、「韓国の素材・部品・装備の生態系発展に貢献することも大きい」とし、「LGディスプレイはこれまでOLED産業の自立度向上と供給網の強化のため、国内協力会社と素材から部品、装備まで国産化を推進してきたが、今回の国産化でLGディスプレイのOLED素材の国産化率は昨年58%から今年64%に上昇した」と伝えている。
 
LGディスプレイは独自開発したpドーパントを今後、大型および中小型OLEDパネルに順次適用していく予定だ。
 
LGディスプレイのイ・ヒョンウ大型事業部長(常務)は、「OLED量産10年の技術力を基盤に、素材・部品・装備の国産化を持続的に推進し、OLED技術リーダーシップとプレミアム市場での地位をさらに強化していく」と述べた。