韓国LGが日系人に勝訴 電子タバコ爆発事件めぐる米裁判…原告は重症

韓国化学大手のLG化学(LG Chemical)の電子タバコ用バッテリー爆発した事故をめぐり、日系人被害者が訴えていた裁判で、1審に続き2審も棄却されたことが分かった。ハワイ裁判所は管轄権の不在を認め、LGが電子タバコ用として流通業者にバッテリーを納品した事実がないと判決した。

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ハワイ第9巡回連邦控訴裁判所は6日(現地時間)、LG化学とLG化学米国法人を相手に現地に住む日系人であるマット山下氏(MATT YAMASHITA)が起こしていた電子タバコ爆発事故訴訟を棄却した。ブルームバーグや韓国紙もこれを報じた。

当該判決文URL:https://cdn.ca9.uscourts.gov/datastore/opinions/2023/03/06/20-17512.pdf

同裁判所は管轄権の不在を棄却理由として挙げた。LG化学や同子会社のLGエナジーソリューション(LGES)がハワイに本社を置いておらず、法人や主要事業体を運営していないため、裁判所に人的管轄権がないと判断した。

当該判決文キャプション

LG化学またはLG化学米国法人が18650バッテリーを別の流通業者に販売したという原告の主張についても、証拠が不足していると判断した。

同裁判所はむしろ、第3者に電子タバコ用にバッテリーを販売する権限を付与していないというLG側の主張を引用した。LGエナジーソリューションは公式ホームページを通じて、小売業者や流通業者、電子商取引サイトに電子タバコに使用する目的でバッテリーを販売したことがないと繰り返し明らかにしてきた。

同裁判所は、バッテリーを電子タバコ用に再販売したという原告の主張にも同意しなかった。山下氏は家電製品から18650バッテリーを取り外す方法を説明する映像3本を証拠として提示したが、同裁判所はその映像だけではLGの容疑を立証するのは難しいと判断した。

1審に続き控訴審でも原告が敗訴したことで、LG側の勝訴が固まる可能性が増している。今回の争いは2020年から始まった。山下氏は2017年12月、電子タバコが爆発したことで重傷を負った。第3の業者から購入した18650バッテリーを問題視し、製造元であるLGエナジーソリューションの親会社であるLG化学を提訴した。損害賠償を求めたが、1審は管轄権不存在で棄却されていた。

LG製バッテリーを搭載した電子タバコの爆発事件をめぐっては、米国で複数の訴訟が提起されていることが伝えられてきたが、LG化学側は、バッテリーの安全に関する措置について「関連法規ではKC認証を受けてない単電池を個人に販売する行為を厳格に禁止しており、この法規に基づき、個人消費者及びバッテリー脱着が可能な電子タバコ会社にも納品していない」との立場をとっており、単電池表面に電子タバコの使用禁止など警告文言を掲示していることを強調している。

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