韓国証券社「日本の輸出規制撤廃はサムスンに好材料」「韓国素材メーカーには打撃」

12年ぶりに日韓首脳会談が開かれた中、日本による半導体用素材の輸出規制(輸出管理強化)撤廃でサムスン電子やSKハイニックスなど韓国半導体企業に好影響があるとの見通しが出た。

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NH投資証券のキム・チェユン研究員は17日に発表した報告書で、「12年ぶりの日韓首脳会談の成果は大きく2つで、半導体部品(素材)の輸出規制撤廃と日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の正常化だ」と述べた。韓国各紙もこれを引用し報じた。

日本の経済産業省は2019年7月に導入した半導体素材3品目(エッチング、洗浄作業に使用するフッ化水素、メモリやディスプレイに使用するフッ化ポリイミド、フォトレジスト)の輸出規制解除を発表した。 また、韓国政府は世界貿易機関(WTO)に提訴した紛争解決手続きを取り下げる予定だ。

キム研究員は「韓国は日本の輸出規制に対応するために輸入先の多様化や国産化などを図った結果、素材や部品、関連装備など約100品目の対日依存度が大幅に低下し、供給網が強化された状況だが、日本との貿易が再開されれば、より安定的な供給網の確保が可能になるだろう」と分析した。一方で「2019年以降、半導体素材の国産化推進により恩恵を受けていた韓国の半導体素材メーカーにマイナスの影響が出る見通しだ」と伝えた。今後、半導体素材の国産化の必要性が減少する可能性があるからだ。

一方、彼は「円滑な素材需給が可能になり、素材の国産化に関連する研究開発(R&D)費用や人材投入が減少すると予測されるサムスン電子、SKハイニックスなどの半導体メーカーにはポジティブな影響があるだろう」と期待した。

また、GISOMIAの完全正常化により、日韓両国は北朝鮮のミサイル発射と航跡に対する探知情報を共有して対応する方針だ。日本の今年の防衛費予算案は6兆7880億円で、2028年まで現在の約1.6倍の規模に拡大する見通しだ。

これに対し、キム研究員は「東京取引所に上場した三菱マテリアル、住友化学、東京応化工業、JSR、信越化学工業など日本の半導体素材関連企業の売上拡大が期待され、川崎重工、三菱重工、IHIなどの防衛関連の受注が増加すると予想する」とし、「中長期的なポジティブな投資視点を提示する」と付け加えた。

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