韓国企業がPGMEAを量産へ…EUV用PR溶剤

韓国企業が半導体極紫外線(EUV)工程の核心原料を韓国内で量産する。日本が韓国向けに輸出規制(輸出管理強化)したことのあるEUVフォトレジスト(PR)の溶剤だ。

複数の韓国紙によると、韓国企業であるケムトロニクス(chemtronics.co.kr)は7日、170億ウォン(約20億円)を投資し、現在年間1万トン(t)レベルの「超高純度プロピレングリコールメチルエーテル酢酸(PGMEA)」の生産能力を2025年2万5000tに拡大することを明らかにした。

※ケムトロニクスの当該公示(ハングル):https://kind.krx.co.kr/common/disclsviewer.do?method=search&acptno=20231107000205

ケムトロニクスは昨年、PGMEAを開発し、200億ウォンを投資して初期設備を構築した。同社は今回の追加投資を通じて生産能力を2.5倍水準に拡大し、大量供給に乗り出す計画だ。

PGMEAは半導体露光工程に活用されるPRの70~80%を占める核心原料だ。特に、ケムトロニクスが開発したPGMEAは99.999%(5N)の超高純度を実現したもので、EUV PRを作るために使われるとのこと。

EUVは最新の半導体露光技術で、10ナノメートル(nm)以下の超微細回路を実現するために必須となる。EUV PRはこれまでJSRや信越化学工業など日本企業が主導してきた。2019年、日本政府が対韓国輸出規制を行った際にEUV PRも含まれた。

韓国紙によると、ケムトロニクスは、最終顧客社に半導体用PRを納品する企業にサンプルを供給し、品質テスト手続きを準備していると明らかにしている。

ケムトロニクスが自社ウェブサイトでも紹介した韓国経済新聞の記事(7日)によると、「PGMEAには潜在的な毒性物質である”異性体(β-アイソマー)”という物質があるが、グローバル企業は異性体濃度として10ppm(100万分の1を表す単位)未満を要求するが、ケムトロニクスはこれを1ppmに下げた」とのこと。

同記事でケムトロニクスのキム・ウンス代表は「グローバル半導体企業が異性体評価基準の策定にケムトロニクスの数値を参考にする動きが始まった」と述べている。

(参考記事:韓国企業がEUV金属酸化物レジストを量産へ…JSR子会社との提携でOEM生産に
(参考記事:韓国標準院「韓国産の半導体組立技術が国際標準に制定される」…IEC会議が済州で開催
(参考記事:サムスン「来年HBM供給を今年の2.5倍以上に増やす」「すでに顧客と協議完了」